ファンをワクワクさせる采配
そして2つ目に犠打が減ったように思う。なかなかヒットが繋がらない中で、1点を取りに行く犠打は確かにひとつの戦略ではあるが、確実に一つアウトを与えてしまっているのも確か。大量得点がない分相手もさほど恐れていないのではなかろうか。ちなみにこの6試合で田中選手が出塁した15度のうち茂木選手の犠打は2つ、しかもノーアウトでの出塁に関しては一度もなしだった。この辺りも平石監督代行のやりたい野球が出来ているように思う。
そして最後は代打にもしっかりとした信念を感じる所だ。6月22日のファイターズ戦、7対7でむかえた延長11回裏ツーアウト満塁、一打サヨナラのシーンで左腕の公文投手に対して左の枡田慎太郎選手を代打に送った。セオリーでいけば右の渡辺直人選手で行く所だろうが、枡田選手を送った。前のベイスターズ戦での代打成功やファームでの対左対戦成績の相性の良さももちろん情報としてあったはずだが、あの場面で渡辺選手ではなく枡田選手でいくあたりは新しい動きであるし、その後12回裏先頭での代打に渡辺選手を送るあたりもにくい采配だと感じた。結局代打は失敗し試合にも敗れてしまったが、森雄大投手のロングリリーフや岩見雅紀選手を粘り強く使ったりと、ファンにとってはワクワクし今後にもつながる大満足の試合だったように思う。
平石洋介さんといえば、98年夏PL学園のキャプテンとしてあの松坂大輔率いる横浜との延長17回の死闘の中で、捕手の構えからコースを見破り「行け行け」「狙え狙え」のかけ声のサインで、松坂攻略の力になった事はあまりにも有名であるが、僕が平石さんを思い出すのは延長11回裏松坂からレフト前へヒットを放ち、大西選手のタイムリーで同点に追いつくホームインのシーンだ。ヘッドスライディングでドロドロになったPLのユニフォームからは諦めない魂の叫びのようなものを感じた。「逆転のPL」実にいい響きではないか。その洞察力と諦めない魂で後半戦の快進撃を作り上げてほしい。
※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/7645でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。