しかし悪い予感は的中し、その入試の結果は不合格。

 Aくんは手で涙を拭い、「明日は必ず合格する!」と母親に伝えて寝室に入った。

 結果的に、Aくんは2日目の入試で無事に合格を決めた。母親は胸をなでおろしたが、本人は不満顔だった。というのもその学校には一般クラスと特進クラスが存在し、Aくんが合格したのは一般クラス。そのため、特進クラスに合格するまで受けさせてほしいというのが本人の希望だった。

ADVERTISEMENT

©AFLO

2月4日の待合場所は雰囲気が全く違うことに気が付いた

 家族で話し合い、2月4日に最後の入試に挑むことを決断する。Aくんを送り出した後、母親は前回と同じ待合場所に案内されたが、それまでとは雰囲気が全く違うことにすぐ気が付いた。

 2月1日や2日の待合室はほぼ満員状態だったが、4日ともなると保護者はぽつり、ぽつりと離れた座席に座るほど。Aくんは一般クラスとはいえ合格を手にしていたが、おそらく1校も合格をもらえていないという家庭もあったに違いない。重たい雰囲気はそれを物語っていた。

 この日の受験は、午前中が学科だけでの試験、午後は面接や作文で合否が決まる特色入試と言われるものだった。午後に入ると待合室の人数はさらに減った。この学校がその年に行う最後の入試だ。

 試験を終えたAくんは帰り道、母親に「手応えを感じた」と話した。自宅に帰り、夕食を済ませて発表時刻を待ち、緊張の面持ちで受験番号を入力、Enterキーを押すと「合格」の文字がはっきりと見えた。

「やった! 受かった!」

 Aくんは思わずガッツポーズ、念願の特進クラス合格を果たしたのだった。

 Aくんは初日から偏差値的にギリギリの第一志望を受け続けたが、家庭によっては初日に合格確率の高い学校を受け、安全を確保したうえで2日目以降に「本番」を用意することも多い。

 B子さんのケースでは、受験初日に模試でA判定が出ている学校を2つ用意して受験に挑んだ。しかし、待っていたのは予想外の苦戦だった――。