木村市議は8年前、問題発覚の端緒を開き財務省の責任を追及してきた。判決直後、法廷で雅子さんに駆け寄り「よかった~」と声をかけたが、これですべてが終わるわけではない。まずは国に上告をさせず、この勝訴判決を確定させることが大切だ。さらに判決は「不開示決定を取り消」しただけで「開示を命じた」わけではないから、黒塗りなどのない形で文書をすべて開示させることが必要だ。赤木俊夫さんが亡くなって早7年近い。これ以上長引かせるわけにはいかない。

赤木俊夫さんの遺影を掲げて取材に応じる妻の雅子さん

「あるかないかも答えないって、とんでもない話です」

 判決から5日後の2月4日、木村市議は賛同する人たちとともに大阪市中央区の財務省近畿財務局を訪れた。合同庁舎1階の応接室で財務局の総務課長らと向き合って真っ先に尋ねたのは、

「まさかとは思いますが、まだ上告はしていないですよね?」

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 そこを確認した上で、申入書を渡し本題に入った。

財務大臣宛の申入書

「行政文書はそもそも役所のものではありません。国民の財産ですから公開するのが原則です。それを、あるかないかも答えないって、とんでもない話です」

「だいたい任意提出した文書があることはわかりきっているんです。隠そうとするからおかしくなる。最初から開示に応じていれば、こんな裁判する必要もなかったわけです」

近畿財務局に申し入れをする木村市議(中央)

 上告はせず、一刻も早く文書を開示するよう求めた。これに財務局側が「私たちには権限がない。すべて上級庁である財務本省が関係各所と協議して決める」と答えると、

「建前はそうかもしれませんけど、この問題は財務省や近畿財務局の人たちがやったこととして片付けられていますよね。でたらめな土地取引を隠すために公文書の改ざんまでさせられた。政治家は誰一人責任を取らない。安倍さん(元首相)も亡くなりましたけど責任は取っていないわけです。皆さん、それでいいんですか?」

「だいたい石破首相は、首相になる前は『再調査が必要だ』って言ってたんで、首相が『出しなさいよ』と言えば済む話じゃないですか」