もっとも悪魔に食いものにされ、地獄を見たキャラ

 奥山さんと深津さんが演じた役も過酷な体験をしていくのですが、3人のなかでも飛び抜けて壮絶だったのが、常盤さんが演じた女子大生・茉莉子。

 茉莉子は派手な服に身を包み、ディスコ遊びを繰り返し、好きでもない男とホテルに行くというシーンが序盤からありました。

 その後、カードローンの借金が返せなくなり、悪魔的思考の消費者金融の男にそそのかされ、ファッションヘルスで働くことに。風俗嬢として初めて接客する際にヌードシーンが放送されました。

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「第30回ジュエリーベストドレッサー賞」40代部門を受賞した常盤貴子(2019年) ©時事通信社

 劇中の茉莉子の悲惨さは回を重ねるごとにエスカレート。

 終盤には、一晩30万円という大金につられて派遣されたホテルで、初老男性3人の相手をさせられ、しかもその様子が茉莉子には内緒で撮影されており、裏ビデオをもとに実家の両親がゆすられてしまいます。茉莉子は精神的に不安定になり、現実逃避するため男にすすめられた覚醒剤にも手を出して薬物中毒に……。

 劇中でもっとも“悪魔”の食いものにされ、地獄を見たキャラクターを演じたのが、ブレイク前の常盤さんだったのではないでしょうか。

『御上先生』の今後の展開は…

『悪魔のKISS』が、その衝撃的な物語のわりにあまり知られていないのは、ビデオやDVDといったソフト化もされていませんし、配信などでも見ることができないからのようです。

TBS『御上先生』公式HPより

 冒頭の通り、現在放送中の『御上先生』で常盤さんが演じているのは、不倫で辞職して娘が殺人犯となってしまった元高校教師という、過酷な状況に追い込まれている役どころ。

 従来の常盤さんのイメージとは異なるかもしれませんが、ブレイク前夜の“問題作”で見せた演技を思い起こした人もいるかもしれません。筆者としては、あれほどの地獄に堕ちた『悪魔のKISS』での経験が、もしかすると『御上先生』の演技でも活きているのかもしれないという納得感もあります。『御上先生』の今後の展開がますます注目されます。

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