たとえば、「抜き打ち調査や個別の聞き取りをする」「こういう業界だからという内外のイメージを払拭する」「規則や労働基準を明確に決めておく」「加害者の氏名の公表」「アンガーマネジメント講習の実施」「メディアを横断的に監査する仕組みを作る」「加害者の報酬の減給や解雇」「加害者に病的症状がある場合は加療を義務にする」などの意見もありました。
被害者への支援として希望されていることには(複数回答、415名)、秘密が守られる相談窓口(81.2%)や、相談による不利益や報復を受けないルール作り(79.0%)、調査機関の設置(68.4%)などの声が多いです。
また、カウンセリング料金の保証(61.4%)や、被害に対する補償(医療機関の受診・休職)を求める声が多く(59.8%)、休業補償(48.4%)や、復職の保証(46.0%)も求められています。
重篤な被害でメンタルを病み、自死された方もいることから当然の要望と思います。
多くの芸能人はハラスメント防止措置の対象外だった
芸能界のハラスメントの調査結果は非常にセンセーショナルで、公開すると大きな話題になりました。その後、芸能界にハラスメント事件が起こるたびに、新聞などで引用されました。
先にも述べたように、かつてフリーランスは男女雇用機会均等法に定めるハラスメント防止措置の対象外とされました(2024年11月施行のフリーランス法で防止措置の対象になった)。ILO(国際労働機関)は「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する条約」を採択したものの、日本は条約が求める国内法にハラスメント行為の禁止規定を作らなかったことで条約を批准できていません。
2019年の国会では衆議院と参議院ともに附帯決議がつけられ、フリーランスと就活生、教育実習生は労働者に準じて保護されることが望ましいと記載されるにとどまりました。
多くの方が勇気をもって回答してくださったアンケートを政府に手渡して「こんなに困っている人がいるんです。どうかお願いします」と平身低頭に頼みましたが、壁を乗り越えることはできず、労働者ではなくフリーランスであることを理由に、ハラスメント防止措置の対象にはなりませんでした。こんなに言いづらいことをアンケートに告白してくださった回答者に申し訳ない思いでいっぱいで、一人一人に会って謝りたい気持ちでした。