政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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経産省が込める“実弾”
通常国会が開かれる中、霞が関の最大の関心事は日米首脳会談である。石破茂首相はドナルド・トランプ米大統領に何を語りかけるべきか。検討の中心は国家安全保障局の岡野正敬局長(昭和62年、外務省入省)だが、「首相が期待するのは、“実弾”を用意してくれる経産省だ」(首相周辺)という。関税政策や対米投資の拡大がトランプ外交における目下の課題だからだ。
実際、経産省内では「中国に確実に勝てる技術をトランプ氏に示すべきだ」、「メキシコから米国に生産移転する日本企業を洗い出せば、米国の雇用への貢献をアピールできる」といった提案が飛び交っている。
対策を指揮する幹部には平成3年入省組が目立つ。荒井勝喜通商政策局長(旧通産省)は官邸との折衝や、トランプ政権の情報収集を担う。ワシントンやニューヨークで米政府や産業界の動向を探っていた経験があるだけに、勘所を心得ている。岸田文雄政権の首相秘書官時代に失言問題で官邸を去ったが、「トランプ対策が成功すれば次官級への昇格もあり得る」(同省中堅)。
同期の伊吹英明製造産業局長もキーパーソンの一人。父は衆院議長を務めた伊吹文明氏だが、「課長になるずっと前から『政治家にはならない』と明言していた」(局長経験者)。
局内に金属課を抱え、日本製鉄のUSスチール買収を後押しする立場。1年余り前、日鉄が買収を突然表明した時は経産省との関係がぎくしゃくしたが、「温厚な性格の英明氏が冷静に対応してくれたので、今は一枚岩だ」(日鉄幹部)とされる。外務省とも歩調を合わせ、官民でトランプ氏を説得する策を練っている。
※本記事の全文(約5500文字)は「文藝春秋」2025年3月号と「文藝春秋PLUS」に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。記事全文では下記の内容をお読みいただけます。
★経産省が込める“実弾”
通常国会が開かれる中、霞が関の最大の関心事は日米首脳会談である。石破茂首相はドナルド・トランプ米大統領に…
★新次官と首相の距離
1月17日付で、船越健裕外務審議官(昭和63年、外務省)が事務次官に就任した。在米日本大使館や官房総務課などを…
★財務相を支える女性たち
昨秋に発足した石破政権で、古巣の財務省にトップとして返り咲いたのが加藤勝信財務相(昭和54年、旧大蔵省)だ。「花の54年組」と言われた同期では…
★インサイダーの“余波”
昨年末、金融庁で発覚したインサイダー事件が波紋を…
■連載「霞が関コンフィデンシャル」
4月号 財政健全化への新目標、人口減に向け本格始動、新体制の宮内庁、愚痴る首相側近
5月号 「ミスター円」の将来、“女傑抜擢説”の裏側、「復活組」の活躍、異能のアラビスト
6月号 令和のモーレツ官僚、脱原発の知恵袋、準キャリアのエース、サイバー新組織の陣容
7月号 官僚たちの選挙戦、「改革派」の真価、処分を克服できるか、新御用掛の安定感
8月号 政権を去る「恐竜」、波紋を呼んだ中企庁長官、新・プリンスの実力、オールジャパンの真価
9月号 処分を逃れた「巨悪」、財務次官の系譜、女性検事総長への嘆息、長官レースの号砲
10月号 新秘書官の本命候補、「脱・警察」となるか、「イトウ違い」の裏側、旧自治省の“復権”
11月号 新総理との距離感、原発再稼働の勝負所、少子化対策のキーマン、高専出身次官の力量
12月号 不安漂う首相秘書官、首相肝いりの官房副長官、間合いを詰めた金融庁、相次ぐ県警不祥事
【2025年】
1月号 「壁」を巡る同期の攻防、「岸田議連」の火種、元首相秘書官に“赤紙”、1年延期の新次官
2月号 野党対策の黒子たち、官邸に漂う閉塞感、総務官邸官僚の実力、次期警察人事の行方
3月号 《今回はこちら》

【文藝春秋 目次】芥川賞発表 安堂ホセ「DTOPIA」 鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」/フジ日枝代表への引退勧告/東大病院の先生が教える大腿骨骨折
2025年3月号
2025年2月10日 発売
1750円(税込)