上白石萌音、上白石萌歌――。今注目の上白石姉妹が初めて「姉妹役」に挑んだ『羊と鋼の森』。若きピアノの調律師が成長していくなかで重要な存在となる高校生ピアニスト姉妹を演じている。劇中の姉妹が同じ「ピアノ」に熱中したように、ふたりはいま、同じ「女優」というフィールドで切磋琢磨している。様々な感情うずまく姉妹という関係性の中で、ふたりは今どんな感情を抱き合っているのか。洋服の貸し借りはどうしているのか。お休みの日は何をしているのか。いやぁ姉妹って、本当に素晴らしいものですね……。(全2回の1回目/後編に続く)

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「え!? 本当ですか?」(萌音・萌歌)

――今回の作品ではとにかくおふたりともピアノを弾かれるシーンが多かったですね。

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萌音(もね) はい。私は一応昔ちょっとだけピアノを習っていたんですけど……。

萌歌(もか) ほとんどふたりとも経験のない状態で、半年くらいかけて練習をしました。

――半年も!

萌音 音大生の方に私と妹とそれぞれついていただいて練習したり、ピアノの先生のところにうかがったり……。でもやっぱり弾くときのイメージには指標が必要で、その音の理想が(エンディングテーマのピアノ演奏を担当した)辻井伸行さんだったんです、私にとって。和音はきっと辻井さんみたいな音が弾きたいんだろうなと。だから演じることが決まってから辻井さんの曲をずっとずっと何回も何百回も聴いて、それは心の支えでもありました。

真剣な表情で「鋼」の字を書く姉の萌音と、あたたかく見守る妹の萌歌

――試写がたまたま辻井さんと同じ回で、上映後におっしゃってたんです。「言葉にできないくらい感動した」と。

萌音・萌歌 (顔を見合わせて)え!? 本当ですか?

――もちろんです。

萌音 ああ……。

萌歌 信じられない……。

「あの日のことは一生忘れないだろうな」(萌歌)

萌音 辻井さんご本人にお会いできる日がくるなんて夢にも思わなかったし、(完成披露試写会で)あんなに間近で辻井さんのピアノを聴けるとも思わなかったし……本当にこちらこそ言葉が出ないです。

萌歌 本当にあの日のことは一生忘れないだろうなって思います。

――辻井さんはもちろん、キャストの方々も錚々たる顔ぶれが並んでいますが、撮影現場はどんな雰囲気でしたか?

萌音 もうこの映画を観て「こんな現場だろうな」って想像したら、それです(笑)。

萌歌 みなさん、そのままの。

萌音 「こういう人になりたい」っていう方たちの集まりでした、人としても役者としても。

スペースが余ったので羊の絵を書きはじめるふたり