「この間なんか4日で4冊読みました」(萌音)
――本は普段からよく読みますか?
萌音 最近までずっと舞台の旅公演してたんですけど、この間なんか4日で4冊読みました! 電子書籍よりも紙が好きで、『羊と鋼の森』も、本のこの木の匂いというか、そういうのを感じながら読んでました。宮下(奈都)先生の本は元々すごく好きです!
――自分のお気に入りの本を姉妹ですすめあったり?
萌歌 まさにね!
萌音 毎回、読み終わったら、「はい」って言って(笑)。必ず回します。
――洋服の貸し借りは姉妹あるあるですが、本もあるんですね~。
萌音 結構好みは似てるんですけど、でもちょっとずつ嗜好が違うので、私が好きなものが萌歌にとっては新しかったりとか、逆に知らない作家さんを教えてもらったりとか。
萌歌 そうだねぇ。姉が好きなのは……
萌音 ……伊坂幸太郎さん(照)。
萌歌 私は吉本ばななさんと、あと姉に借りた朝井リョウさんとか、恩田(陸)さんも好きだし、又吉(直樹)さんのも! 擦り切れるくらい読みました。
「でもやっぱり、難しかったです、姉妹役」(萌音)
――原作を読み込んで、辻井さんの楽曲でイメージを膨らませて……万全の準備で撮影に臨まれたんですね。
萌音 でもやっぱり、難しかったです、姉妹役。私にとって一番の試練だったのが、和音が後半にある決意をする、すごく強いシーンがあるんですけど、和音が気持ちを固めるシーン。妹と向かい合って会話する中で、妹がボロボロに泣いていて、私もつられて泣いてしまったんですよ。カットがかかって、監督が来て「ここは和音は泣かないほうがいい」って。でもどう考えても泣いちゃうんですよね。妹が泣いてるし、言わなくても通じる何かがバシバシきてて。
萌歌 うんわかる。あそこが一番ね。
萌音 台詞はとても少ないんだけど、それ以上の感情がすごく伝わってきて。
萌歌 目を見るだけで。
萌音 涙をこらえるの、必死で。姉妹じゃなければ起きない連鎖だったのかなって思いました。同じDNAを持ってるからこその、もらい泣きだった。
萌歌 確かに役を演じる上で、自分に近い役のほうが難しかったりする。リアリティがすごくて。今回は姉妹だから、姉妹ならではのつながりはすごく意識したんですけど、でも普段の私たちではない、他の人の人生を演じるわけで。それがとても難しかったですね。いつもの自分が出てしまわないように、余計ピアノに向き合ったりとか。
萌音 一緒にいると出ちゃうもんね(笑)。
萌歌 そう、何しろ鹿児島弁が出てしまう(笑)。
――普段は鹿児島弁で話しているんですね。
萌音 だからほんとはこうやって標準語でしゃべっている感じも……「うわぁ」って、こそばゆい(笑)。
写真 榎本麻美/文藝春秋
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映画『羊と鋼の森』
全国東宝系にて公開中
ピアノ調律師の成長を描き、2016年に第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説を映画化。将来の夢もなく生きていた外村(山﨑賢人)は、高校で調律師の板鳥(三浦友和)と出会う。専門学校を出て調律師として働くようになり、先輩の柳(鈴木亮平)やピアニストの高校生姉妹・和音と由仁(上白石萌音・萌歌)とのかかわりによって成長していく。監督は「orange オレンジ」でも山﨑とタッグを組んだ橋本光二郎。
監督:橋本光二郎
脚本:金子ありさ
原作:宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋)
出演:山﨑賢人、三浦友和、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌ほか