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まさに私たちの置かれた状況は「ゼロ」

青山 4月のある日、いきなり関さんから「(新党名を)『新党ゼロ』にしよう」と言われたんだよね。最初は「関さん、大丈夫!?」みたいな感想でした。その後、例のPVで流れるキャッチコピーを一つひとつ見るうちに、「やっぱり、その通りだよな」と妙に納得しましたね。なんで我々が国政を目指そうと思ったのかという「原点」をもう1回思い出すことができた。ちょっと感動しました。

 

 僕はノートパソコンを持って、議員会館の事務所や委員会室の前で新人議員を一人ひとり捕まえて、「新党ゼロ」のPVを見てもらいました。それで「一緒に提案しよう」とお願いした。

森田 YouTubeにも公開したんですよね。私は、それで見た。まさに私たちの置かれた状況は「ゼロ」なんで、ちょうどいいんじゃないかなと思いました。

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青山 僕は古い人間だから、「民政党」とか、「立憲ナントカ党」とか、昔の戦前二大政党の名称、官僚派じゃなくて党人派に近い政党の名前にあやかろうという話を党内で訴えていたんだけども、関さんの熱意にほだされて、「俺も『新党ゼロ』の推薦人になる!」と言って、署名しました。

 「新党ゼロ」というネーミングのポイントは〈政治家が作ってない〉ということ。僕たちが作った時点で胡散臭くなるんですよ。中田英寿さんや為末大さんをブランディングした「サニーサイドアップ」というPR会社があるんですが、そこからスピンアウトした人が昔からの知り合いで、「新党名、どうしたらいい?」と相談したところ、ひと肌脱いでくれました。それから突貫工事で、1カ月もない中であの映像が出来上がった。

 

「民主党」「民進党」「希望の党」というキーワードがウェブ上でどのように使われ、どんな印象を持たれているかを調べ上げて、それを参考にしながら練り上げられたそうです。例えば、「民主党」と検索すると、やっぱり「うんざり」とか出てくる。逆に、そういうイメージを払しょくすればいいということを考えて、あのPVが完成しました。僕は完成品の映像を仲間に見せて、「どう?」「どう?」「どう?」と聞いて歩きました。

森田 私は「うん」と言ったんですよね。

 

「これに決めた!」と言ってくれた先輩も

青山 同期の中には、そもそも新党に合流するかどうかを迷っていた方々もいました。結果的に9人中8人が新党に合流しましたが、衆院選の時に希望の党を選んだ背景にはそれぞれの人間関係があって、最後まで悩んでいた仲間もいたんですよ。「新党ゼロ」のアイデアにはみんなが基本的に「いいね!」と言ってくれたけど、正直、それどころじゃない人がいたことも事実です。

 結党直前、新党の党名を提案するコンペみたいなのがあったのです。「新党A」「Bの党」という提案が続く中、僕は「『新党ゼロ』っていうのがいいんですけど、ちょっとご許可をいただければPVを流したいんですけど……」とお願いして、会議室のプロジェクターであの映像を流しました。「文句を言われたらどうしよう」とか無駄にビビりながらも(苦笑)。

 

青山 全議員対象に新党結成に向けた協議をする場でしたよね。

 党名案だけ聞いた瞬間に「来ちゃった、キラキラネーム(苦笑)」みたいな冷ややかな反応をしていた人も、映像を見たら「いいじゃないか」と納得してくれた。「これに決めた!」と言ってくれた先輩もいました。玉木雄一郎共同代表も「いいね」と言っていたから、一時期は、「本当に『新党ゼロ』に決まったらどうしよう!」なんて妄想をしましたが、妄想で終わりました。最後は執行部の協議で「否決」となってしまいました。