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SKE第一幕もそろそろ終わる、と感じた2015年

 選抜総選挙では、2013年の第5回あたりからSKEのメンバーが多数ランクインするようになった。グループとしても、これと前後して紅白歌合戦に初出場をはたし(12年)、ナゴヤドームで単独コンサートを開催する(14年)など躍進の時期だった。一方で、毎年春先になるとメンバーの卒業があいつぐのが恒例のようになっており、グループの先行きを心配させたが、そのたびに新たなメンバーが台頭し、勢いが衰えることはなかった。こうした傾向のせいか、SKEのファンには、特定のメンバーを応援するというよりは、グループ全体を応援する「箱推し」が、ほかの姉妹グループとくらべても多いといわれる。

©文藝春秋

 選抜総選挙でのSKEの強さも、そんなファンに支えられてのことだ。2015年には、ランクインしたメンバーの数がAKB本体を上回り、SKEがついに“与党”になった。折しもこの年、結成からの足跡をたどった映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』が公開され、さらにSKEのデビュー以来ほとんどのシングルで珠理奈とWセンターを務めてきた松井玲奈が卒業を発表、豊田スタジアムで卒業コンサートが開催された。それらの祭りを楽しみながらも、SKEの第一幕もそろそろ終わると感じたファンは自分だけではないはずだ。

SKE48劇場のあるSUNSHINE SAKAE(左)©iStock.com

 はたして、ここ数年のSKEは、いままでの昇り調子から一転して逆境ともいうべき時期が続いてきた。紅白への単独出場も2015年以降ない。テレビ各局の音楽番組でもSKEが単独で出演する機会は減り、地元の冠番組までもが一時消えた。そのなかで、私はようやく珠理奈がグループにいることの大きさに気づくことになる。

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「まだまだ、まだまだ成長したい」

 昨年9月、名古屋・日本ガイシホールで、同日夜のAKB48グループのじゃんけん大会を前に開催されたSKEの単独コンサートは、珠理奈と同じ1期生の大矢真那の卒業コンサートとなり、おおいに盛り上がった。その終演後には大矢の囲み取材が行なわれたのだが、私たちメディア関係者が会見場に向かう途中、狭い通路にSKEのメンバーが勢ぞろいし、グループを代表して珠理奈が次のようにあいさつした。

松井珠理奈 ©文藝春秋

「最近、メディアのみなさんだったり周りの方に、SKEの勢いがどんどん出てきたねと言っていただけることがすごく増えたので、でもまだまだ、まだまだ成長していきたいなと思っておりますので、みなさんこれからも私たちに力を貸していただけたらすごくうれしいなと思います」

 たしかにこのころにはSKEは徐々に復調のきざしが見えていたとはいえ、「まだまだ」を2回繰り返したあたり、まだ安心はできないという危機感がうかがえた。