なんと! 具体的には、
《公用パソコン(PC)から見つかった私的文書の内容に初めて踏み込み、「倫理上、極めて不適切なわいせつな文書」とした。》(朝日新聞デジタル)
昨年の週刊文春で最も印象深かった記事
告発者は「死をもって抗議する」という文言を遺して自殺している。否定や弁解ができない相手に対して斎藤知事は言った。私的文書は、知事の指示を受けた片山安孝・前副知事が「告発者捜し」の過程で回収したPCから見つかったものだった。
ここでおさらいしよう。私が昨年の週刊文春で最も印象深かった記事は7月25日号にあった。告発したX氏の情報が兵庫県庁で出回っていたという時点で文春は以下のように書いていたのだ。
《中身についてはX氏が決して触れられたくなかったことであり、本稿では言及しない。ただ、X氏の告発を握りつぶすためにこれを利用しようとする行為がどうしようもなく卑劣であることは論を俟たない》
文春は告発者のプライベートについては報じなかった。公益通報とはまったく別問題だからだ。
昨年12月19日号でも文春は告発者X氏の“公用PC”の中身を報じなかった「3つの理由」として、
(1)申入書の存在
(2)公用PCの中身がX氏による告発の内容とは無関係だから
(3)公用PCの中身について真実かどうか見極めるのが困難
と説明している。“あの文春”が報じなかった理由は大事なので何度でも書いておきたい。
しかし片山前副知事は百条委員会でX氏のパソコンの中身についてわざわざ口にした。プライベートや真偽不明の内容に委員長の奥谷謙一県議が制止した。このやりとりを「隠し録り」した録音データが維新県議だった増山誠氏から立花孝志氏の手元に渡り、立花氏は拡散させた。
これらの「選挙戦」に対して斎藤知事はずっと他人事だった。百条委員会を務める県議らへの誹謗中傷にも一般論を繰り返すのみ。
そして今年1月、前県議の竹内英明氏が死亡した。百条委副委員長だった維新の岸口実氏は知事選期間中に立花氏と会い、委員だった竹内県議を「(告発問題の)黒幕」呼ばわりする紙を渡した。中傷された竹内氏は、県議を辞職したあとに死亡。自殺とみられる。
