旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」会長である梶栗正義氏が沈黙を破り、4時間半にわたるロングインタビューに応じた。3年前の安倍晋三元首相の銃撃事件のキーマンである梶栗氏が語った自民党との関係とは?(インタビュー・構成 石戸 諭)

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 ――単刀直入に伺います。山上被告の犯行動機となったのは、2021年9月、UPF(教団の友好団体「天宙平和連合」)が主催する第7回「シンクタンク2022 希望前進大会」で流された安倍晋三元首相のビデオメッセージを見たことだとされています。前年は創設者の文鮮明の生誕100周年にあたる年でもありました。UPFが出演を依頼したのは、なぜ安倍元首相だったのでしょうか。団体と安倍氏の関係を教えてください。

 梶栗 安倍先生は政治的なお立場が私たちと近しかったため、派閥の議員の方を応援していた過去がありました。慰安婦問題の解決のために日韓合意にまでこぎ着けた実績もおありですし、朝鮮半島の問題に関心が高かった方でもありますので、登壇をお願いしました。

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梶栗正義氏 Ⓒ文藝春秋

 この件に関して、直接お会いしたのは2021年6月上旬のことで、こちらからは私1人ではなく、当時の勝共連合の関係者も含めて数人がうかがっています。

 面会の主旨として、2020年9月16日に総理在任7年8カ月を終えられて、私どもから「お疲れさまでした」とお声がけをしたかったこともあります。日程の調整をお願いした結果、(会えたのは)総理退任から9カ月ほどが過ぎた時期になりましたね。

 ――それだけ梶栗さんは安倍さんと親しかった?

 梶栗 私から安倍先生に直接電話したことは一切ありませんし、私たちから何かをお願いすればすぐにすべてを聞き入れてもらえるというような関係ではありません。ですから、事務所の方々と日程調整のやりとりをして、時間をいただけたのです。(安倍氏の)多くの支援者と変わらない立場だと思います。

関連団体イベントにビデオ出演する安倍晋三元首相

「ペンスさんも出ているんだ」

 お会いして感謝の気持ちを伝えた後、2021年5月9日に開かれた第6回「希望前進大会」というUPF関連のイベントにペンス元米国副大統領が登壇したことをご紹介しました。他にも潘基文前国連事務総長など、世界のVIPの方々をお招きしたことも伝えました。

 この時点で次のイベントの具体的な日取りは決まっていませんでしたが、次回以降の開催に向けてトランプ元大統領にもオファーをしているという話は(米国の)UPF本部から聞いていました。

旧統一教会の“教祖” 文鮮明氏 Ⓒ時事通信社

 安倍先生はトランプさんのことを相当意識されている印象がありましたから、私のほうから「もしトランプさんが出るなら、安倍先生が出るようなこともあり得ますか?」とお尋ねしたのです。

 明確な答えはありませんでしたが、もしかしたら関心は持ってもらえたかもしれないなとは思いました。というのも、その後の会話で、私どもがお持ちした資料を見ながら、「ペンスさんも出ているんだ。ああ、この人も知っている。この人は外交の席で会ったかな」というお話をしてくださったからです。そして、私はこの日の面会の様子をニューヨーク(にあるUPF本部)に報告しました。