3月25日、高額献金などの問題をめぐって、東京地裁から解散を命じられた旧統一教会。これに先立ち、文藝春秋のインタビューに応じていた旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」会長の梶栗正義氏は、解散命令に至るプロセスについて不満を零していた。(インタビュー・構成 石戸 諭)

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「なんでうちは普通じゃないんだろう」

 ――解散命令の直接的な要因になったのは「2世問題」であるとも言えます。(安倍晋三元首相を銃撃した)山上徹也​被告は幼くして父を亡くし、残された母は入信した旧統一教会へ1億円を超える多額の献金をした後、自己破産。その恨みが犯行へと繋がったとされています。同じ、宗教2世である梶栗さんは山上被告にも特別な思いがあるのではないですか。

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 梶栗 あの事件の一報を聞いた時ですが、感情としてはとても悲しかったし、彼への申し訳なさもありました。そして何より残念だと思いました。

 山上被告本人には信仰がありませんが、宗教1世の親とのあいだに問題を抱えている信者の方だっています。私も、結果的には信仰を継承させていただいた立場だけれども、先ほども言ったように、ベルトコンベアのように流されるままに信仰を持ったわけではありません。

 そもそも、信仰の有無にかかわらず、常に親子間には葛藤はついて回るもので、それは私にもありました。

旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」会長の梶栗正義氏 Ⓒ文藝春秋

「なんでうちは普通じゃないんだろう」と私も思っていたんです。だって、同級生と一緒に渋谷の街中を歩いていたら、宣伝カーの上に乗った父が『憲法改正すべし』なんて叫んでいるわけですよ。友達が気づいたかはわかりませんが、「もうちょっと静かに過ごしたいな」と子供心に思いました。

 ですが、やはり両親からの愛情は感じていたし、そして、何も私を苦しめようと活動しているわけではないことも知っていました。私自身は親の信仰を尊重したい気持ち、宗教的な表現で言えば「大いなるもの」との出会いを、自分自身で受け止めた。