でも、家庭環境は人それぞれだし、いろんな葛藤をしてきた多くの2世信者がいることを私も知っています。これまでも多くの相談を受けてきました。
山上被告について言えば、私たちのコミュニティが彼の悩みに対してしっかりと向き合ってあげることができなかった。私は2世にあたる子供が同じ信仰に至ることが正解だとはまったく思っていません。信仰を継承しないケースはかなり多いですし、それよりも親子の和解が大切です。親への大きな恨みが事件になってしまったとするのならば、本当に残念の一言に尽きるのです。
間違いなく言えるのは、第1世代の方々の信仰は、本当に特殊なぐらい熱心なのです。それが運動の精神的な支えにも金銭的支えにもなった。それを私はことさら批判するつもりはありません。
しかし、熱心すぎる信仰が社会との間で摩擦を作ってきた事実は否定できません。高額献金が教理のようになったのも、最初期に教祖が人生を擲って理想実現のために頑張ろうと呼び掛け、若かった私の親世代が裸一貫で応えた経緯があったから。そこに「私有財産」という考えはなかったのです。
私は教団の代表権を持っていないし、方針を議論したり決定したりする立場にありませんが、私の知る限りにおいて、現在は家族の理解と承諾のない、10万円を超える高額の献金はもらうべきではないと、徹底しているはずです。
関連団体は解散しない
――旧統一教会は、いま解散の危機に直面しています。裁判所の判断に注目が集まっていますが、梶栗さん自身は、どのような判断が下されると考えていますか。
梶栗 法理論から考えれば、最高裁では解散請求は認められないのではないかと考えています。もし仮に宗教法人が解散になっても関連団体が解散することはないですし、私たちから自発的に解散することもありえません。
――一方で、そもそも勝共連合などの関連団体は、旧統一教会が布教のために“隠れ蓑”として利用してきたという批判もあります。教団の名前を隠して新規信者獲得のために接近するというケースもあったのではないですか。
梶栗 勝共連合として社会に認知されることが、統一教会本体に対する拒否感を軽減する効果は、結果的にはありました。でも、勝共連合の会員になった人が統一教会の会員になった例というのは、そんなに多数ではありません。我々もそれを積極的には進めていません。布教のための隠れ蓑にしたという指摘は当たらないと思うんです。
私たちからすると、プロセスに不満はありますよ。もっと公平公正に両論を聞いて冷静に判断していただきたかった。しかし、安倍先生の事件が背景にあったために、世相がそれを許さなかった。「解散命令ありき」の流れだと思っています。
※4時間半にわたる本インタビューの全文(約20,000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(梶栗正義「統一教会と自民党 すべてを知る男の告白」)、及び「文藝春秋」2025年4月号に掲載されている。
全文では下記の内容をご覧いただけます。
・「死刑」に等しい解散命令請求
・撮影は知人オフィスで1時間弱
・福田赳夫との蜜月
・岸田文雄との写真
・韓国への送金は年100億円
・韓国で経験した「南進」の恐怖
