1972年、スイスの高級時計ブランド オーデマ ピゲが発表した「ロイヤル オーク」初代モデル(Ref. 5402)は、そのデザインのみならず、ダイヤルに採用された青色でも知られている。この色は「ナイトブルー、クラウド50」と呼ばれ、仏語で“夜の青、雲のような50番”を意味する。

 当時のダイヤルメーカーが、保護ニス(またはザポン)にブラックカラーNo. 50を加えた時に得られる独自の色調だった。「クラウド」という言葉は、カラー液滴をニス液の中に加えた時にできる模様から来ている。

 オーデマ ピゲはこの色へのオマージュとして、2025年4月、3本の新作を発表した。いずれもロイヤル オークまたはロイヤル オーク オフショアの系譜に属し、それぞれ異なる素材で「ナイトブルー、クラウド50」の再解釈を試みている。

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 1本目は、ロイヤル オーク ダブル バランスホイール オープンワーク(Ref. 15416CD.OO.1225CD.01)、文字盤にはスケルトン加工を施し、立体構造を強調、時計の表と裏の両面からムーブメントが時を刻む様子を楽しむことができる。

 2本目は、ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ(Ref. 26238CD.OO.1300CD.01)、ケースには「ナイトブルー、クラウド50」セラミックを使用し、同色のダイヤルと統一感を持たせた。コレクション初となる、スタッズとリンクを繋ぐピンがシームレスになった新型セラミックブレスレットを採用。

 3本目は、ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ(Ref. 26420SO.OO.A029VE.01)で、ステンレススティールと「ナイトブルー、クラウド50」セラミックの組み合わせにより、より現代的な外観に仕上げられている。付属のラバーストラップによりスポーティな個性を表現することも可能。

 これら3モデルはいずれも、自社製ムーブメントを搭載し、パワーリザーブや振動数、素材構成といった技術的側面でも差異があるが、共通するのは「ナイトブルー、クラウド50」への明確な視覚的言及である。これらはデザインと素材におけるブランドの革新への探求を体現しているといえるだろう。

 オーデマ ピゲは過去数年にわたり、ロイヤル オークの歴史的モデルを現代技術で再解釈する試みを続けており、本作もその一環と位置づけられる。ブランドのアーカイブと製造技術を融合させた最新の展開として注目されている。