──意外な結果ですよね。20代の方が多様性を良しとしそうなのに。

和見 新宿で街頭アンケートもしたんですが、若い女性に直接聞くと「ハゲのモデル、いいと思います」って言うんです。でも「彼氏がハゲたらどう思う?」って聞くと「絶対いやだ」って(笑)。日本では、まだかっこいいハゲのモデルケースが少ないんでしょうね。渡辺謙ぐらいですもんね。

──そうかもしれません。

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ハゲを軽視する社会を変えたい ©佐藤亘/文藝春秋

和見 そういうところが変わってほしいんですよね。去年、事務所で宣材写真を撮影したんです。そしたらカメラマンさんに「和見さんって顔はいいんだから、ヅラかぶった方がお仕事くるんじゃないですか?」って言われたんですよ。それを言われて、それは僕のやりたいことと全然違うって改めて思いました。

 カツラを被って仕事を取りたいわけじゃなくて、今のこのままの僕で仕事をしないと僕にとって意味ないんだって。そういうところを変えていきたいですね。

「ハゲコンプレックス」から抜け出せた理由

──和見さんにとって、ハゲのコンプレックスを手放すことができたのは、スキンヘッドにしたことも大きかったのでしょうか。

和見 そうですね。38歳のときに「瞑想リトリート」っていう、10日間誰とも一切話さず、朝から晩まで瞑想する企画に参加したんです。10日間が終わって、参加者同士が話し始めるんですが、何人かが集まって話しているのを見て心がざわついたんです。

「あそこで話題に上ってるの、俺のことちゃうか。『あの人ハゲてる』とか言われてへんかな」って。周りの目線を気にし過ぎている自分に気づいたんですよね。それで家に帰ったらすぐ奥さんにバリカンで剃ってもらいました。

──気持ちの変化はありましたか?

和見 めちゃくちゃすっきりしました。今まで何を気にしてたんかなって思うぐらい、出かける前のイライラが一切なくなったんですよ。それまでは、帽子は一度かぶったら絶対に脱げない、風が吹く日は出かけられない、とかそんなんばっかり気にしてて。そういうことを一切考えなくてよくなって、自由になりました。髪の毛に気持ちがいかなくなったら、逆にバイタリティが湧いてきたんですよね。

──素敵です。薄毛で悩んでいる人に、何かアドバイスはありますか?

「髪型なんてそんな大した問題じゃない」 ©佐藤亘/文藝春秋

和見 悩んでいるくらいなら剃ってしまうのも一つの選択肢ですよね。ハゲを気にして奇想天外な髪型にするくらいなら、清潔感がある方がいいんじゃないかって個人的には思います。結局、髪型なんてそんな大した問題じゃないんですよ。自分が気にしすぎているだけなんですよね。

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