デリヘルで学費を稼ぎ、念願の看護師になった主人公・南つくし。病院で働きながら「患者の性欲」について考えるようになった彼女はある日、動画配信サイトで「障がい者専門の風俗嬢」の存在を知る。
動画に出演していたのは、障がい者専門風俗「またたき」の代表・七居しずく。彼女が語っていたのは、タブー視される「障がい者の性」の実態だった。七居の発言に共感したつくしは、看護師を辞めて障がい者専門風俗嬢として働き始めるが――。(全3回の1回目/2回目に続く)
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“障がい者専門の風俗嬢”の世界をマンガにしたワケ
「障がい者専門の風俗嬢」として各種メディアに出演している、一般社団法人「輝き製作所」代表の小西理恵氏。そんな小西氏の取り組みにフォーカスを当てながら、「障がい者の性」の現実や偏見を描いたのが、コミックエッセイ『障がい者専門風俗嬢のわたし』(KADOKAWA)だ。
「YouTubeチャンネル『街録チャンネル』で初めて小西さんの話を聞いたとき、自分がそれまで知らなかった『障がい者の性』の世界に、かなり衝撃を受けました。
先天的な障がいのほかに、誰もが不慮の事故や何かの病気をして障がいを持つ可能性はあるのに、どこか自分とは関係ないと思ってしまうというか。『障がい者の性』は、長い間、見て見ぬふりをされてきたテーマでもあると思います。だからこそ、多くの人に知ってもらいたいと思い、コミックエッセイにしました」(担当編集の中川寛子さん)
様々な立場の登場人物が「障がいと性」に向き合う
同作では、下半身麻痺になった男性やヘルパーによる介護が必要な20代男性、重い知的障がいの弟を持つ女性、メンタル不調で治療中の女性など、様々な立場の登場人物が、障がい者専門風俗の利用を通じて「障がいと性」に向き合う姿が描かれている。
「マンガにするうえで、障がい当事者の視点はすごく意識しました。当事者の方々や支援者、あとはその関係者にも刊行前に読んでいただいて、違和感なく描けているか、偏った視点になっていないかをチェックしていただきました。実際に障がい者専門風俗を利用した方からもお話を聞いています」(同前)