「絶対にやってはいけない人権侵害をやっているに等しい」

 県は第三者委の調査対象などを示す「要綱」を非公開としたため、大学教授や弁護士らが公開を求めて提訴する事態にもなっていた。調査要綱の開示を求めてきた上脇博之教授(神戸学院大学)は「取材源の秘密がおそらく報道機関にとっては命。これを自治体(兵庫県)が情報提供者を探し出すということは、この報道の自由、取材の自由に対して圧力をかけていることになりますので、自治体としては絶対にやってはいけない人権侵害をやっているに等しいと思う」と述べている。

 取材源の秘匿は報道の命。これはメディアを特別扱いしているわけではない。理不尽な目に遭った際に告発や情報提供をすることは私たちの身を守るためでもあるからだ。しかし公権力側が情報源を暴こうとするなら人々や組織を萎縮させる。どう考えても恐ろしい。

 さらにまだ問題がある。第三者委の設置にあたり、補正予算を承認した県議会は、知事に批判的な記事の情報源を調査対象とすることについては一切説明を受けていなかった。

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 地元の神戸新聞もその点を報じた。

『私的情報漏えい問題 文春記事の取材源も調査依頼 兵庫県、議会には説明せず』(4月8日)

 この件、当の文春が調べて記事にするとこうなる。

“文春の情報源を暴け”斎藤元彦知事「隠したかった愚行」《公金400万円調査に専門家が「また違法」》「週刊文春」編集部(以下、「週刊文春 電子版」の記事より一部引用)

 第三者委には弁護士への調査委託費用として、2月補正予算から約600万円が計上され、議会はこれを可決している。13項目のうち9項目が「週刊文春 電子版」の報道だから、単純計算で約415万円の公金が「文春の情報源暴き」に投入されたことになる、と。

 ではこれを指示したのは、知事自身なのか?

 県政担当記者のコメントがある。