一番標的にされたのは、やっぱり俺の喋り方だった。モノマネされて、馬鹿にされて、俺は日に日に人前で喋ることが嫌になっていった。
俺もやり返そうとするんだけど、そうするとどうしても、荒っぽいやり方に頼るしかなかった。ひとりじゃ勝てないから、教室の椅子を振り回したりとかしてさ。加減がわからなくて、いつもやりすぎちゃうんだ。
母さんは菓子折りを持って、毎日のように色んな家庭に謝りに行ってくれてた。
今は感謝してるけど、当時はそれがちょっとだけ気に入らなかった。なんか、俺だけが悪者にされてる気がしたんだ。母さんは口癖みたいに、「やられても我慢しなさい」って俺に言ってきた。
学校じゃそんな感じだし、日常生活の方も散々だった。
俺は運動だけじゃなくて、生活全般が上手くできないんだ。物事を理解したり、集中したりする能力がことごとく欠けてる。
特になくしものはひどかったな。
ある日、ランドセルをなくしたことがある。あんなにデカい物をどうやってなくすんだって思うけど、多分どっかに置いてきて、そのまま忘れてしまったんだ。
俺のランドセルは学校の近くの用水路を流れて、行き着いた先の川で発見された。
発見した警察から、母さんに慌てて連絡が来てさ、
「息子さんは無事ですか!?」
だって。
持ち主がわからないランドセルが川にプカプカ浮いてたら、そりゃ何かの事件だと思うよな。母さんはカンカンに怒ってた。
今も語り草になってる「ダメエピソード」
こういうダメなエピソードは、腐るほどあるよ。
今でも我が家の語り草になってるのが、ある年の「母の日」の出来事だ。
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