「あなたの知能は小学3年生で止まっている」――中1の夏に教師から衝撃的な言葉を言われた、ラッパーの札幌のギャグ男さん(28)。診断名は知的障害と、パニック障害だった。小学生の頃はそうした性質ゆえか、人とのコミュニケーションに苦労したことも…。ここでは彼が母親のために「花を盗んだ」エピソードを紹介『普通じゃない:知能が小3で止まった僕がラッパーをやっているわけ』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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母のために「人の家の花を盗んだ」少年時代
こんな俺でも、母さんに日ごろの感謝を伝えなきゃって気持ちはあった。母さんは花が好きな人でさ、俺はありったけの花束を作ってプレゼントした。
ここまでは、普通にいい話だって思うでしょ?
でも、その花束の出所がマズかった。俺は人ん家の庭から、きれいだと思う花を根こそぎ盗ってきてしまってたんだ。
その家の人から電話がきて、母さんはまたしても謝りにいくハメになった。
じゃあこれでどうだ、って思って、俺は次の月に大量のタンポポを摘んで帰った。もちろん、誰のものでもない、そのへんに生えてるやつだよ。学校の帰り道に片っ端からかき集めてきて、母さんに渡した。これで大丈夫だ、きっと喜んでくれるはずだ。
……でもダメだった。母さんは、タンポポアレルギーだったんだ。今じゃ笑い話だけど、当時はそれなりにショックだったな。なんで俺って、こんなに何もかも上手くいかないんだって思った。
「タンポポは好きだけど、もう大丈夫だからね」って、母さんは嬉しいような、困ったような顔で俺に言った。
でもさ、そんな俺にも優しくしてくれる人だっていたんだ。