グループホームの世話人は特に研修や資格がなくても務まりますし、まったく福祉を知らない人が世話人になるケースも多くあります。そのため、グループホームによっては、軽度の障害者しか受け入れないところがある一方で、密室での虐待が行なわれることも珍しくなくなってきた。

 つまり、グループホーム事業の参入者は多いものの、質的な部分に対応し切れていないことに、東京都なども頭を抱えているのです。数年前には都の委託を受ける形で、都の育成会が世話人の質を上げるための講習会を開いたことがありました」

グループホームの虐待の実態

 いかに密室が虐待の温床になりやすいか。

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 厚労省が調査、発表する障害者虐待対応状況調査のなかに〈障害者福祉施設従事者等による障害者虐待〉の項目がある。

 それによると、2021年度は全国の市区町村が事実確認調査を行なった事例2718件のうち、虐待の事実が認められた事例は748件。都道府県はこのうち699件を虐待として認めた。それを施設・事業所の20種別で見ると、共同生活援助(グループホーム)がトップとなる162件で、全体の23.2パーセントを占めていることがわかった。

 この傾向はほぼ一貫して変わることがない。翌2022年度の〈障害者福祉施設従事者等による障害者虐待〉では、全国の市区町村が行なった事実確認調査3685件のうち、虐待の事実が認められた事例が1022件。都道府県はこのうちの956件を虐待として認めたが、事業所18種別ではまたもや共同生活援助(グループホーム)が252件とトップをキープし、全体の26.4パーセントを占めた。

 被虐待者を障害種別で見ると、2021年、2022年のいずれの年度も、全体の7割以上が知的障害者で占められている。

 ただし、以上の数字はほんの氷山の一角にすぎない。その障害の特性もあり、知的障害者の大半は自己主張を苦手としている。多くが密室での虐待に抗議の声を上げることもできなければ、第三者に窮状を訴えることもできない。したがって、彼らにできることと言えば、ほとんどが「泣き寝入り」することである。

 なかでも、グループホームと作業所を併せ持つ事業所は、施設従事者が同じ組織に属しているという性格上、虐待が見過ごされたり、隠蔽されたりするケースが目立つという。

 前出の齊藤さんが指摘したように、やはりここでは施設従事者の質的な部分、つまり支援者の意識のあり方が問題になってくるのだろう。