自民党参院議員の西田昌司氏のひめゆり発言の件、不思議なことがいくつもある。たとえば以下だ。
・「保守」を自称する政治家に限って日本の歴史と向き合わない不思議
・事実を確認しないまま勝手に誰かと戦っている不思議
・公明党は参院選で、それでも西田氏の推薦をするのか? という不思議
報道をまとめると西田氏は太平洋戦争末期の沖縄戦で犠牲になった学徒隊の生徒や教員らを慰霊する「ひめゆりの塔」の説明書きについて「歴史の書き換え」などと主張した。
「日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになった。そしてアメリカが入ってきて、沖縄が解放されたと、そういう文脈で書いているじゃないですか」と講演会で述べた。しかし、現実はそんなことは書かれていない。
そのうえでまず、【「保守」を自称する政治家に限って日本の歴史と向き合わない不思議】についてだ。
戦前・戦中派の議員たちの思いも足蹴にしていないだろうか
西田氏の言動を東京新聞社説(5月9日)は《沖縄の苦難に心を寄せてきた自民党を含む先輩国会議員の思いにも背くのではないか。》と指摘。翌日、「先輩国会議員」の代表として念頭にあったのは「西田氏と同じ京都府出身の故野中広務衆院議員ら戦前・戦中派の議員たちのことです」と書いていた。
野中氏は生前、取材に対して「沖縄を忘れることは第2次世界大戦を忘れることだ。戦争の恐ろしさを忘れないためにも、沖縄のことを絶対に忘れてはいけない」と語っていた。私も野中氏の著作は何冊か読んでいるのでそうした言葉を知っている。西田氏は歴史を知る戦前・戦中派の議員たちの思いも足蹴にしていないだろうか。
なぜ「保守」と名乗れるのか不思議でならない。芸能人を自称付きで報道するならこれからは西田氏を「自称・保守」と報道したらどうか。ちなみに東京新聞の社説タイトルは「『ひめゆり』発言 沖縄への侮辱、撤回せよ」だったが、これは「日本への侮辱、撤回せよ」でもある。沖縄が馬鹿にされることは日本が馬鹿にされることだ。そんな当たり前のことを教えるのも大事だ。