「切り取られた記事が、この誤解を生んだ」と報道を批判

 次に【「事実」を確認しないまま勝手に誰かと戦っている不思議】である。 

 自身の発言に事実誤認の指摘や批判が起きると西田氏は「私の意図とは無関係に切り取られた記事が、この誤解を生んだ」と報道を批判した。ところが具体的に問われると「その新聞報道自体、見てないからよく知らない」。

 え、新聞を読んでいないのになぜ切り取りとわかるの? 会見を取材したTBSラジオの澤田大樹記者は「ひとことで言うと、かなりいい加減」と感想を番組で述べていた。たしかに現場では皆びっくりしただろう。「ひめゆりの塔」説明書きについて西田氏の根拠は「ずいぶん昔のことで細かい記憶はないが、全体的な印象を率直に述べた」程度だという。無茶苦茶だが、そういえば最近、不確かな印象だけで勝手に誰かと戦っている人って多くないだろうか? 

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 先日、NHK「ETV特集」の「フェイクとリアル 川口 クルド人 真相」を見ていたら、「川口自警団」を名乗る人にインタビューをしていた。SNSを介してほとんどが東京から川口に来ているという。団長は「クルド人というのがこの地域で非常に目立って悪いことをやっている」。

 NHKスタッフが起訴率は「来日外国人」も「(日本人を含む)全体」もほぼ変わらないという事実を指摘すると、団長は「(SNSで)上がってくる情報が」「とにかくよく聞くんですよ」。そのうえで「僕は別にニュース、新聞とかそういうソースを全然見ない人なんです」。

 さらに驚愕なのは「真面目に地道にやりすぎても良くないなっていうのがある」と述べ、SNSのインプレ稼ぎ目的を肯定していた。事実ではないことを投稿することに何の怖さも感じていないのが怖かった。今回の西田氏の言動に似ていないか。共通するのは特定の支持者にウケればよい、ということか。