学校側も調査を行い、翌日には「学校事故報告書」を出している。さらに数日後、同じ授業を受けていた生徒たちへの聞き取り調査も行われた。

 後に開示されたその報告書によれば、生徒たちは、A教諭がイズミくんに対して「お前何をやっているんだ」「屁理屈言うな」「なんで怒られたかわかってるか」「話聞いてんのか」という強い言葉を使っていたことを証言した。

イズミくんの気持ちを母親はノートに書き起こした

 その声色についても、「普通の声よりも大きかった」「豹変し厳しくなった」と、大きな声だったり、感情的になっていたという。

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「少し強く言いすぎて指導を受けたことはあります」

 後に相談の際は学校から教育委員会を通すこととなり、話し合いにクラスメイトの保護者が同席してくれたことなどもあり、ついに学校側も不適切な指導を認めた。

 校長とA教諭が謝罪に自宅を訪れたが、調査の詳細を知る必要があると感じた両親は、個人情報開示請求で校長によるA教諭の聞き取り調査結果などを取り寄せた。するとそこでは、A教諭は冷静に注意したかのような扱いとなっており、イズミくんの反抗的な態度が問題だとされていた。

 開示資料(校長の聞き取り)は以下のとおりだ。

校長 授業の時は、興奮していたか。

A教諭 うなる事はしてないが、それはダメだよ、安全面で許されない。(ワークシートにあった※筆者注)つまらんに対してはそれは無いよと厳しくいった。

校長 指導に対して子供はどう思ったか。

A教諭 最初は反抗的。自分やり方でやっていて注意された。しずめるまで指導した。どう思っていたかわからないが書き直していたので指導が入ったのかと思った。

体育の授業の位置関係を再現した図。イズミくんの主張に無理はないように思える

 しかしその後に行われた栃木県の教育委員会の調査では、A教諭は不適切な指導を認めている。

課長 その子に向けた指導が、まわりの子に対しても非常に萎縮させてしまっているという自覚はありますか?

A教諭 あります。

課長 今回の件を振り返り、不適切な指導とはどのようなことを指すとお考えになっているのでしょうか。

A教諭 生徒の心を傷つけてしまったり、生徒の考えやおもいや雰囲気を私がこのようにしたいというようなおもいが先行してしまいすぎて、生徒を萎縮させたり、怖がらせたり、傷つけてしまったりすること全体が不適切だったと思います。

課長 今までの勤務校において、今回のような不適切な指導で、管理職や他の教職員から指導を受けたことはありますか。

A教諭 少し強く言いすぎて指導を受けたことはあります。