6年前の、2019年4月18日の夕方、熊本市立中学校の1年生の男子生徒、マサルくん(仮名、当時13歳)が自宅マンションから転落し、敷地内で倒れているのが発見された。

 搬送先の病院で死亡が確認され、警察は自殺と断定。背景には小学校時代の担任、X教諭による不適切な指導があった。マサルくんの7回忌に、今も消えない後悔について母親に話を聞いた。

マサルくんが担任のX教諭に苦しんでいた小6の頃

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「その日マサルは16時ごろに帰宅すると、『友達と遊びに行く』と言って出ていきました。何度か家を出入りしていましたが、18時頃には帰ってきて、どの部活に入るか悩んでいると相談されました。ただマサルの意見もまとまっていなかったようで、『ご飯を作っているからちょっと待って』と言いました」(マサルくんの母親)

 母親は夕食の準備をしている間、何度かドアを開け閉めする音が聞こえていたが、「姉と遊んでいるのかな」と気にすることはなかった。19時30分ごろに父親が帰宅すると、「マンションの下に救急車が来ている」「倒れているのは男の子かも」と言った。

 気になって部屋をのぞくと、マサルがいない。もしやと思った2人は状況もわからぬまま車に飛び乗り、救急車のサイレンを追いかけた。病院に着くと事情を話し、まず父親だけが救急治療室に入った。ベッドに寝かされ、動かなくなっていたのはマサルだった。薄い布が掛けられて、顔と手だけが出ていました。

マサルくんの母親

「これ以上はもうどんなに心臓マッサージをしても難しい。残念ですが……」

「強烈な悲しさとか混乱と同時に、何が起こったのか理解できず、ただただ涙があふれてきました」

 マサルくんが病院に運ばれてからしばらく経つと、両親は医師から「これ以上はもうどんなに心臓マッサージをしても難しい。残念ですが……」と告げられた。

 教育委員会や学校へも連絡が入り、病院には中学校の校長と担任、学年主任、そして教育委員会の職員がやってきていた。

「こちらからは連絡していないのに、先生たちが来ていました。もしかしたらいじめ自殺の可能性を心配されて来られたのかもしれないと思い、先生たちには『いじめじゃないと思います。帰っていただいても大丈夫です』と言いました。息子の交友関係はとてもよかったし、友達も多かったんです」(マサルくんの母親)