カスタムカーの世界には、「誰かと同じ」であることを全身全霊で拒絶する人々がいる。彼らのこだわりの原点には、一体どんな秘密があるのだろうか。今回は、3人のカスタムカーオーナーたちの熱い思いに迫った。
◆◆◆
人生で車にかけた金額は1億円近く
「車バカド派手野郎」さんは、18歳から車を弄り続け、現在乗っている初代エスティマで46台目だという。これまでの人生で車にかけた金額は1億円近くに及ぶそう。
「18歳からバニングを7台乗り継ぎ、それからも街道レーサーとかVIP系とか、あらゆるジャンルに手を出しましたが、やっぱり原点は当時の大黒にあるんです」
彼のこだわりは、すべてを自分の手で仕上げること。ショップに出さず、DIYでどこまでやれるかを追求している。
「もちろんこれは自己満足でもありますが、若い人たちに『DIYでもここまでできる』って伝えたい気持ちもあります」
しかし、現在のカスタムカー業界は厳しい状況にあるという。改造車への風当たりが強くなり、物価も上昇。カスタムのハードルは年々高くなっている。
「日本車も日本の若者も元気だった時代の熱といいますか、その勢いを少しでも今に残したい気持ちがありますね」
そんな彼の姿を見て育った6人の子どもたちは、車に対して好意的だという。特に下の4人は、いつもイベントに同行している。
「この前は『パパが死んだらパパの車に自分が乗る』とも言われましたね。父親が夢中になってきたものを、ちゃんと見てくれていたんだなって、ちょっと嬉しかったんですよ」
◆◆◆
一方、『クレヨンしんちゃん』仕様のバニングに乗る「土建屋岡ちゃん」は、幼少期の強烈な印象が原動力になっているという。
「小さい頃は近所によくバニングが走ってたんですよ。子ども心にインパクトが強烈で、『いつか自分もああいうのに乗りたいな』と、ずっと憧れがあったんです」
彼の車は、春日部近くでの単身赴任生活から着想を得たものだ。地域性を大切にしたいという思いが、独特のデザインに反映されている。
◆◆◆
家族で楽しむカスタムカーの世界もある。「ちぃ」さん一家は、ハイエースのカスタムを通じて新しいコミュニティを見つけた。
「ハイエース乗りは家族連れが多いので、いつも大きなファミリーみたいな雰囲気で。年齢も仕事もバラバラだけど、みんなでワイワイ盛り上がれて、とても居心地がいいんですよね」
3人の子どもたちも、両親の趣味に興味を示している。特に下の2人の男の子は車が大好きだという。
「自分たちの車に愛着を抱いてくれるのはもちろん嬉しいですけど、もし将来子どもたちが別のものに興味を持ったとしても、寂しいとは思わないかな。最終的には自分で好きなものを見つけて、そこで熱中できればいいと思いますね」
◆◆◆
カスタムカーの世界は、単なる趣味の域を超えた深い愛情と情熱に満ちている。それは時に仕事や家族関係にも影響し、生活や価値観の変化をもたらすこともある。オーナーたちの姿を通して、私たちは「好きなこと」に打ち込むことの意味を、改めて考えさせられる。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。





