「誰かと同じ」であることを、カスタムカーオーナーたちは全身全霊で拒絶する。そのコダワリの原点には、一体どんな秘密があるのか?

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ガソリン代、ローンの支払いなど苦労は絶えない

 210系のクラウンアスリートに乗る「ゆちゃクラ」さんは、ピンク色のクラウンに絞って好条件の車両を探し回った。「セダン=クラウン」というイメージに加え、好きなピンクが設定されていた型に惹かれたという。

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 貴重なピンクのクラウンをオンリーワンに仕上げる「ゆちゃクラ」さん

「ネットで調べても台数が本当に少ないんですよ。サンルーフは絶対に付けたくて、そうなるともう全国でもほとんどなくて」

 フルノーマルの車体を見つけたときは即決。頭金もほとんど用意できていなかったが、勢いで購入してしまった。軽自動車からの乗り換えで、サイズやガソリン代、ローンの支払いなど苦労は絶えないという。

ピンクのボディにブラックグリルが際立つクラウンアスリート

「普段は工場でトラックの部品関係の仕事をしていますが、給料はほとんど車に消えちゃうんです」

 貴重なピンクラなので大事に乗っていきたいですと力強く語る。

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「もう弄るときはお金のことは考えない」

 Y33型のグロリアを徹底的にカスタムする「こーちゃん」は、改造費だけで700万円以上を投じた猛者だ。

VIP全盛期から高級車を改造しつづけ、現在もグロリアのカスタムに没頭している

「VIPがまた少し流行りはじめるなかで、自分としては少し違いを出したかった。今では見かけなくなったグロリアを、徹底的に弄ってやろうと」

 この型は車体も部品も減少しており、ほとんどをワンオフで仕上げたという。しかし、お金の心配はしない。

「一度やりたいと思ったら我慢できない性格なので、『これやろう』と思ったらすぐショップにお願いしちゃうんです」

今では見かけなくなった10代目グロリアにこだわりを詰め込んだ

 細部にあしらわれたブランドロゴには「成り上がった証をアピールしたい」という思いがあり、イベントでの差別化を常に考えているという。

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 現場用のハイエースをカスタムする「アリーサ」さんは、介護職から建築業を営む夫の事務方に回り、時間的余裕ができたことで車への情熱が再燃した。

スポーツカーへの熱中や、仕事への没頭を経て、現場仕事やアウトドア趣味に活かせるハイエースのカスタムに目覚めた

「昔から着物や和柄のデザインが好きだったこともあり、『花魁の世界観をテーマにしよう』と思いついて」

 彼女は夫と協力しながらカスタムを進め、家族で楽しめる車に仕上げた。イベントに子どもを連れて参加することも多く、そこでの交流が子どもの社会経験になればと考えている。

和柄をコンセプトにしたハイエース。夫婦のアイデアが詰まった一台

「イベントで出かけた地域に興味を持ったり、普段とは違う友達と新しい遊びを覚えたり。ハイエースを通じた経験が、息子のなかで何かの『きっかけ』になってくれたらいい」

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 三者三様のカスタムカーオーナーたち。車への情熱は、彼らの人生と深く結びついている。

次の記事に続く 人生で車にかけた金額は1億円近く…!? 46台のクルマを乗り継ぎ続けてきた男性が「初代エスティマ」をDIYでカスタムする“納得の理由”

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。