2025年4月期、今クール3本同時にドラマに出演しているのが江口のりこだ。

 朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)では、今田美桜演じるヒロインの母親役を好演。それだけでも十分に忙しそうだが、『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系/以後、『対岸の家事』)と『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京系)にもレギュラー出演している。

 以前から“名バイプレーヤー”として評価されていた江口だが、ここにきて各局から引っ張りだこになっているのには理由がある。

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江口のりこ ©文藝春秋

“働くママ”役で同性から熱烈な支持

 朝ドラ『あんぱん』で演じる羽多子は、早くに夫を亡くしながらも、パン屋を営み、3人の娘を育て上げるしっかり者。いつも一歩引いたところで家族全体を俯瞰して見守る姿は控えめだが、その眼差しには家族を想う誰より強い気持ちが滲む。そしてそこに宿るのは「信頼」だ。

 一方、『対岸の家事』では、ワンオペで2人の子どもの育児をしながら働くママ役を演じている。

『対岸の家事 ~これが、私の生きる道!~』公式Instagramより

 育休明け、営業部から総務部に異動になり、時短勤務でギリギリの綱渡りの日々を送る姿はリアルそのもの。職場で後輩から掛けられる何気ない一言に傷つき、デリカシーのない夫の一言に引っかかり、それでも立ち止まっている暇などなく、感情を押し殺す。

 そのたび、江口扮するワーママの顔面は表情をなくし透明人間のようになる。少しでも周囲に期待した自分を悔いるように、無言ながらも言えなかったSOSが蓄積されているのが見える。