人気アニメ『クレヨンしんちゃん』で主人公・野原しんのすけ役を26年3カ月にわたって演じてきていた矢島晶子さんが、6月29日の放送分をもって降板する。
放送が開始されたのは1992年4月13日。第1話の視聴率はわずか4.0%だったが、母親の名前を呼び捨てにしたり、おちんちんにゾウの落書きをしたりするなど、“嵐を呼ぶ5歳児”しんのすけのおバカでお下品な言動が子どもたちの喝采を集め、社会現象とも言える大ブームを巻き起こす。PTAはカンカンだったが、街はしんのすけのモノマネをする子どもたちであふれかえり、93年7月には最高視聴率28.2%を記録。しんのすけはその年のNHK紅白歌合戦にまで登場した。
また、93年から始まった劇場版は現在まで26作公開されているが、原恵一監督『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01年)、髙橋渉監督『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(14年)をはじめとする佳作揃いで大人のファンも多い。
近年はしんのすけの父・野原ひろしの名言にスポットがあたることが多かったが、しんのすけにもたくさんの名ゼリフがある。それらを振り返りながら、長きにわたってこれほどまでに人気を集めてきた“しんのすけスピリット”とは何かを探ってみたい。
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♪ウンチ、ウンチ~ たっぷりドドンとね~
ウンチはトイレ~ むかしのことは水に流してね~
(TVシリーズ「オラの心はエリートだゾ」)
いきなり尾籠な話で恐縮だが、「ゾウさん」や「ケツだけ星人」など、しんのすけとお下品さは切っても切れない。そもそも5歳の子どもなんて、ウンチやお尻が大好きなものなんだから。
このエピソードでは、名門小学校の受験を目指す子どもたちの前に、自作のウンチのコスプレを身にまとって登場。エリート幼稚園児たちから軽蔑されるが、まわりからの視線や評判など一切気にしないところが実にしんのすけらしい。周囲から何を言われようと、好きなことを堂々とやるのが、“しんのすけスピリット”だ。