「家庭での性暴力」のうち「きょうだい間」は全体の2割を占める
家庭内での性暴力で特徴的なのは、「加害者と被害者が同じ家族の中に存在する」という現実です。このケースのように兄が妹に性加害を行った場合、その親であるD子さんは加害者家族であると同時に、被害者家族にもなります。「きょうだいで性行為なんてありえない!」と驚いた方もいるでしょう。たしかにそれも無理のない話かもしれません。
というのも、家庭内での性暴力は、なかなかその実態が明らかになりません。こども家庭庁のデータでは、2023年度の児童虐待の相談件数のうち、性的虐待は2473件でしたが、そこにはきょうだいや祖父、おじなどからの性暴力は含まれません*1。児童虐待防止法で、「児童虐待」が子どもを監護する保護者によるものと定義されているからです。
*1:こども家庭庁「令和5年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」
性的虐待の実態を調査した神奈川県中央児童相談所のデータによれば、きょうだい間の性暴力は全体の17%でした。加害者でもっとも多いのは実父(36%)そして養父・継父・内夫(23%)で、実兄(12%)、祖父(6%)と続きます*2。
*2:神奈川県中央児童相談所「神奈川県児童相談所における性的虐待調査報告書(第5回)」2023年5月
このケースの場合、息子による加害行為は暴力的なものではなかったとされ、娘にも性的な好奇心があったことが後日、明らかになりました。娘は現在も兄との同居を強く望んでいると話していることから、D子さんは子どもたちの心情を理解し、今後どのように家庭内で性教育を行っていくのか、児童相談所と相談しながら前に進んでいくといいます。
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