日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
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パナ人員削減の裏側
パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長兼グループCEOの経営姿勢に、厳しい目が向けられている。
早期退職の募集などで、2026年3月期中に約1万人もの人員を減らすと発表したが、それ以上に問題視されているのが、楠見氏の発言の軽さだ。
楠見氏は5月9日の決算発表後、主要メディアを相手に開いたグループインタビューで「(中期経営計画未達の)責任を取って退任することも考えた」と発言。遡る2月には業績向上の兆しすら見えないテレビ事業に言及し、「売却する覚悟はある」と語った。
だが、これら楠見氏の発言には続きがある。計画未達は「ただ、このままの状態で次の世代に引き渡すのは課題の引き延ばしだと思った」。テレビ事業は「しかし、売却を決めたわけではない」と語った。ある同社幹部が嘆息する。
「経営トップが実際にはやっていないことを軽々しく口にするべきではない」
楠見氏の経営環境に対する認識の甘さを指摘する声は根強い。たとえば人員削減を発表した際に、「同業他社に比べ販管費率が極めて高い」と指摘した件。実はこれは、パナソニック長年の課題でもあるのだ。メディアのインタビューで「危機感を強く持つようになったのは(社長に)就任して2年ほど経ってから」と発言したが、「何をいまさらな話が多い」と同社関係者は言う。
楠見氏の社長就任は2021年。パナソニックは同年、米ソフトウエア大手のブルーヨンダーを買収したが、買収完了からわずか半年で同社CEOが退任した。車載用電池は世界首位だったが、22年にフォルクスワーゲン向けで失注、世界シェア6位に沈んだ。
「楠見さんは攻めの経営戦略が打てなくなり、リストラしか言わなくなった。知恵袋は創業者の松下幸之助時代から強い権限を持つ経理部門だ」(前出・幹部)
〈この続きでは、パナソニック幹部が今後の見通しを述べています〉
※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年7月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
「あそこは3年ごとに契約を更新する定期借家物件でした。居住者に『次の更新はしない』と通知しており、不満を持っている方もいますが…」
★樫尾家の院政は続くか
「樫尾和宏氏は中国市場でG-SHOCKを売り進めようとしたが、コロナ禍もあって苦戦していた。また21年、和宏氏のパワハラ疑惑が…」
★空港利権企業で相次ぐ騒動
会長と社長が揃って辞任に追い込まれたのは日本空港ビルデング(田中一仁社長)だ。同社は羽田空港の旅客ターミナルの独占所有・運営など…

■連載「丸の内コンフィデンシャル」
【2025年】
1月号 セブン買収のキーマン、あおぞら銀の受難、メルカリの内憂外患、外食高値買収劇の裏
2月号 日産ホンダの同床異夢、ソフトバンクの隙間風、HISの後継者は?、犬猿の仲は続く
3月号 楽天ナンバー2の交代、貸金庫事件の余波、トヨタ会長活躍の裏で、パソナの世襲の行方
4月号 日産・社外取の思惑、魚谷氏のコンサル人脈、農林中金の退職金は、ヤマダ3人目の後継
5月号 岐路に立つ富士通、地銀再編の台風の目、農中が抱える爆弾、流通業の新旧交代
6月号 東芝の主導権争い、村上家に戦々恐々、“切れ者”の復活、牛丼一本足脱却なるか
7月号 今回はこちら