日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

★東芝の主導権争い

 東芝(島田太郎社長)の改革が奏功しつつある。2024年4〜12月期連結決算の最終損益は1848億円の黒字。前年同期の1070億円の赤字から急回復した。持分法適用会社の半導体メモリー大手、キオクシアホールディングス(HD、早坂伸夫社長)の業績改善や、足元で3500人にのぼる人員削減と配置転換による固定費の削減が大きく影響している。

東芝の主導権争いの行方は? ©文藝春秋

 東芝は15年に不正会計と米原発子会社の巨額損失が発覚した。財務体質を改善するため17年に実施した増資でアクティビストが大株主になって以来、経営方針は二転三転してきたが、徐々に持ち直しつつある。この4月15日には電力事業子会社を26年に東芝本体に再統合すると発表。インフラ子会社は統合を完了し、ハードディスクドライブなど電子部品を手掛ける子会社と、ITシステム子会社も統合予定である。4子会社の再統合は混乱を整理し、再成長するための一手だ。

「分社化で各部門が個別最適を求めるようになった。さらに統合で部門間連携を進める」(東芝幹部)

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21年まで東芝社長兼CEOを務めた車谷暢昭氏 ©文藝春秋

 だが、事業部連携を巡っては、新たな課題が生じている。東芝は23年12月に上場を廃止、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP、馬上英実社長)傘下で再建を進めている。このJIPから送り込まれているのが池谷光司副社長だ。いま事業部連携の主導権を誰が握るかで、池谷氏と島田氏のつば迫り合いが続いているのだ。

「最近、島田さんは何もいわなくなった」と先の幹部は言う。背後にJIPがいる池谷氏が優勢で、島田氏の居場所がなくなっているという指摘だが、勝敗が決したわけでもない。同社関係者はこう語る。

「島田氏のバックには21年まで社長兼CEOだった車谷暢昭氏がいるのです」

この続きでは、車谷氏の影響力や馬上氏の思惑を読み解いています〉

出典元

文藝春秋

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