日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。

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西武に居住者の不満

 西武HD(西山隆一郎社長)が、品川プリンスホテルの一部流動化について検討すると発表した。同社が昨年5月に公表した長期戦略で保有不動産を流動化し、得た資金を新たな開発に充てる「キャピタルリサイクル」を進めるとしており、今回の発表はその一環。

 流動化の検討は西武グループOB・OGにいたく評判が悪い。品川プリンスは西武グループの“天皇”と言われた堤義明氏が設計にも深くかかわった建物として知られる物件だからだ。あるOBは「西山社長や、西武の最高権力者である後藤高志会長兼CEOは、堤家の足跡を消そうとしている」と憤る。

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“西武HDの最高権力者”後藤高志会長兼CEO ©時事通信社

 西武HDは長期戦略以前から保有資産の流動化を進めてきた。2022年には東京・芝公園にある「ザ・プリンス パークタワー東京」や、バブル期のスキーブームの火付け役となった「苗場プリンスホテル」などをシンガポールの政府系ファンド、GICに売却。今年2月には「東京ガーデンテラス紀尾井町」を、米投資ファンドのブラックストーンに約4000億円で売った。いずれも堤家ゆかりの物件だ。

西武HDは、「東京ガーデンテラス紀尾井町」を米投資ファンドに約4000億円で売却。この敷地の一角に建つ高層マンション棟「紀尾井レジデンス」の居住者が退去を求められ始めた ©soraneko/イメージマート

 このうち、東京ガーデンテラス紀尾井町の売却については、西武グループOB・OG以外からも、怨嗟の声が上がっている。

 ガーデンテラス紀尾井町の一角に建つ高層のマンション棟の「紀尾井レジデンス」。地上21階、地下2階、総戸数135戸の高級賃貸マンションだが、ここにきて新オーナーとなったブラックストーンが、居住者に退去を求め始めたというのだ。

「投資を早期に回収するため、ブラックストーンは紀尾井レジデンスを、賃貸から分譲に切り替えようとしているのです。あそこは3年ごとに契約を更新する定期借家物件でした。居住者に『次の更新はしない』と通知しており、不満を持っている方もいますが、西武HDはこれを黙認している」(西武HD関係者)

この記事の続きでは、紀尾井レジデンスの関係者が憤りを語っています〉

※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年7月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。

 

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出典元

文藝春秋

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