これ絶対売れるぞ
反中:私も同じように自分が仕掛けたものとか「POPを読んで買いました」っていうのはもちろん嬉しいです。あと、新刊資料でこれから出る本のラインナップを見て「これ絶対売れるぞ」っていう作品を見つけた時がたまらない。なんか分かるんですよね。装丁とかタイトルとかで。
成生:オーラありますよね。
反中:あります。それを見つけた時は「これは絶対にやりたいな」って思いました。で、企画を立てる時は凄くわくわくするんですよ。
「面白い」でコミュニケーションが取れる業界
城戸川:『高宮麻綾の引継書』の刊行に際して、書店に挨拶回りに行かせてもらったとき、どこの書店さんも作品を凄く良いところに置いてくださっていて。一読者であった時、書店は本との出会いを単純に楽しむ場でしたが、僕ら読者と作品の接点を作ってくださっている書店員さんの大切さを強く感じましたね。
成生:僕が個人でやっているXを見て、お店に栄養ドリンクを差し入れに来てくれたこともありましたね。あの時は、プライベートだと聞いて凄く驚いた記憶があります。
城戸川:栄養ドリンク片手にお店を覗いたら成生さんの姿が見えなくて。でもお店の人に話しかけるのは恥ずかしかったので10分くらいお店の中をうろうろしてしまいました。そしたら偶然成生さんが奥から出てきてくれて。無事渡せてよかったです。
その時も拝見したんですけど、成生さんがとてもいいPOPを作ってくれていて。先日、大学の先輩からLINEで「心の中に麻綾を宿すわ」って言葉とともに成生さんの作ったPOPの写真が送られてきて。興奮しましたね。
成生:面白い本を売ることが僕の書店員としての存在意義だと思っていて。それこそ麻綾を心に宿せばもっといいPOPが描けるんじゃないかと本気で思ったんです。
城戸川さんの先輩の心に響いたなら、麻綾を心に宿して正解でしたね。
市川:「面白いから推したい」って凄く大事な気持ちだと思うんですよね。本に全然関心なく働くのも一つの形だとは思うんですけど、「面白いよね」ってお互いにコミュニケーションが取れるこの業界はやっぱり素敵だと思います。
面白い作品を推す使命感
城戸川:僕は普段商社で働いているので、いろんな会社のいろんな商品を扱っているんですけど、その中でも自分がいいと思ったものを扱いたいなっていう気持ちが凄く強くて。それがあるからこそ、熱量を持って薦められるというか。「面白いから推したい」っていうのは共感できます。
市川:そういう意味では面白いって思った作品は絶対に薦めなきゃいけない使命感っていうのはありますよね。とっておきの作品には手書きPOPをつけたりします。
反中:私は模型を作りますね。例えば『高宮麻綾の引継書』ではA4の紙を模型のサイズに合わせて切って、1枚1枚貼っていったんですよ。それでエナジードリンクの模型もつくったりして。
市川:このノートパソコンをね。帰り際パッて閉めた後に書類をポンって乗せるんですよね。ここまでのストーリーが見えます。

