書店員としてできること
――『高宮麻綾の引継書』は働く人のバイブルになりつつありますが、皆さんは新たにチャレンジしたい事はありますか?
成生:今後は雑誌での書評連載など、書店業務の枠を超えた活動もしていきたいと思います。もちろんフリーランスではないので出来ることに限りはありますが、書店員として本を出せたらいいですね。
あと、将来はバーもやりたいです。自由に本について語り合ったり、作家も書店員も誰でも本好きな人が集まれるような。
反中:私は目の前にある仕事を精一杯こなしていくことを一番大切にしているので、文芸書担当としては『高宮麻綾の引継書』を仕事で悩んでいる方や、何を目標にして働けばいいのか迷っている人達にもっと読んでもらえたらいいなと思います。
市川:僕はこの作品を読んで、すごく思うところがあって。
麻綾はまだ若手だから会社の実態が見えてないじゃないですか。そんな組織に自分の可能性を見出されてだんだん上層部と絡んでいく。そうすると上にいる人たちの解像度がどんどん上がっていくんですよね。そこで麻綾は、会社っていうものは「自分が入り込んで中から変えていけばいいんだ」って思う。
反中:「自分が中から変えていけばいい」という気持ちになっていく。若手社員である麻綾の成長の過程が描かれていますよね。
市川:まさに僕も同じような感覚があって。店頭で本を売る立場から、会社の内部に近い部署に異動になってからだんだん会社の解像度が上がってきたんですよ。
今は現場と本部、両方の大変さを知る立場なので、その架け橋のような存在になれたらいいなと思っております。
城戸川:小説家は一生懸命物語を書いて、出版社の人と一緒に本を作るんですけど、最後の最後に読者の人に熱を届けてくださる書店員さんたちの存在の大きさをしみじみと感じました。
「面白そう!」と思って小説を手にとってくれる人がいるのも、みなさんが店頭で目立たせてくれたり、POPを作ってくださっているおかげなんですよね。そう思うようになってから、本屋さんの楽しみ方が一つ増えた気がしています。
