日本各地のコメどころの新聞はどう報じている?
小泉氏の随意契約による備蓄米放出で支持率が回復し、「コメ価格が下がるのが一番の選挙対策」という自民中堅の言葉が載っている。少数与党で政権運営が厳しいが「衆院解散してくれれば楽だ。全部リセットされるから」(自民幹部)という言葉も。
少数与党になったのは自民党の裏金問題と発覚後の態度によるものも大きかったがコメで清算しようとしている。いつから選挙の道具になったのか。子どもの頃「コメを粗末にするな」と言われたものだが政府与党はコメをもてあそんでいないだろうか。自作自演にもほどがある。
では、日本各地のコメどころの新聞は小泉大臣後の動きをどう見ているのだろう? いくつかの地方紙を調べてみた。
まず新潟日報は「随意契約」について、
《随意契約は業者選定の過程が不透明になりやすい。さらに、契約の対象を大手に限定したため、地方、中小のスーパーや米穀店に備蓄米が行き渡らない恐れもある。》(社説・5月28日)
公平性や透明性について指摘する。さらに「コメの価格高騰の背景には、生産を減らしてきた長年の農政がある」と根本的な問題を書いていた。社説のラストは「国は場当たり的に対処するだけでなく、消費者、生産者双方にとっての適正価格が実現する農政へ歩みを進めてもらいたい」。
秋田魁新報の一面コラム(6月3日付)は、
《ようやく買えた安価な備蓄米を高々と掲げて喜ぶ消費者の映像を見ると、複雑な気分になってしまう▼供給量を絞って価格維持を図る従来のコメ政策から増産への抜本的な見直しが取り沙汰される。コメをいかに守るべきか。日本人の食生活に深く関わる問題だ。》
文中の「コメをいかに守るべきか」に注目したい。「コメの価格破壊を起こす」という小泉進次郎氏の言葉の安さと比べて考えてみたいのだ。
宮城県の河北新報は『コメ関係閣僚会議 所得と価格 両面の支援こそ』と社説で書いている(6月8日付)。
《生産調整の見直しや農家への所得補償が注目を集めているものの、それだけでコメの安定供給が実現するわけではない。
減少する農地と担い手、価格変動への備え、見えにくくなった流通経路など、複雑な連立方程式を解くような慎重な作業が欠かせない。中長期的な視点から、腰を据えた議論を期待したい。》