政治ジャーナリストが言ったという小泉ヨイショ発言
さらに「農地と担い手の急減に歯止めをかけるには、複合的な対策が欠かせない」と強調する。注目は「複合的」という言葉だ。小泉氏による備蓄米の見せ方やアピールは「単純」だが、やはり複合的な対策を求めているのである。
さて、小泉進次郎氏の登場でテレビは「単純に、わかりやすく」伝えられることに喜んだように見える。昨年秋の自民党総裁選出馬の際は「小泉旋風」は起きなかった。昨年9月16日に発表された読売新聞による自民党の党員・党友への電話調査と、国会議員の支持動向調査を振り返ってみよう。
進次郎氏は「選挙の顔」として期待を集め、議員支持ではトップに立っているが「若さと政治経験の乏しさを不安視する向きもあり」、党員・党友の支持は他候補に後れを取っていた。つまり政治家としては総合的にはまだ不安と思われていたのだ。なので熱狂は起きなかった。そう考えると今回は理想的な役割を手にしている。「備蓄米を安くする」だけでここまで騒がれているのだから。
週刊文春6月19日号のコラム「新聞不信」はメディアによる「小泉米」騒ぎの失速を書いている。5月末の報道の気持ち悪さについて。たとえば5月29日のTBSの情報番組で政治ジャーナリストが言ったという小泉ヨイショについてだ。
《権力への監視をサボるどころか、剝き出しの御先棒担ぎ。権力者に甘い御用記者体質がネットを反逆に向かわせたのだ。》
この御用記者とは誰だろう。田﨑史郎氏でないことを祈るばかりだが、もしそうだとしても一人の問題だけでもないはずだ。メディアはいかにも「小泉ブランド」が改革を進めているようなムードを煽っていないだろうか。こういう風景って20年前くらいにも見ませんでした? しかし小泉家が“ブランド米”かどうかは怪しい。むしろ古い味わいがする。きちんとした扱いが必要だ。あくまで冷静に、冷静に、お願いいたします。
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