日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
利権企業で相次ぐ騒動
空港利権を握る上場会社で騒動が相次いでいる。
5月上旬、会長と社長が揃って辞任に追い込まれたのは日本空港ビルデング(田中一仁社長)だ。同社は羽田空港の旅客ターミナルの独占所有・運営などが認められ、年間売り上げは2700億円近く。対して国などに納める賃借料は170億円足らずである。
辞任した横田信秋前社長は06年、古賀誠元自民党幹事長の長男に空港施設内でのマッサージチェア事業参入を求められた。だが実際の業務は下請けに丸投げ。露骨な利益供与だが、鷹城勲前会長も容認した。さらに問題なのはこの先。16年の税務調査で利益供与が発覚し、重加算税を課されたが、その後も利益供与を水面下で続けていた。
経営陣と大株主の対立が起こっている利権企業もある。全国10カ所の空港で、駐機中の旅客機に動力を独占的に供給するサービスを展開するエージーピー(AGP、杉田武久社長)だ。
上場企業だが同社の株は主要販売先の日本航空(鳥取三津子社長)とANAホールディングス(芝田浩二社長)、日本空港ビルデングの3社が7割以上を握る。社長は代々、大株主から派遣されてきた。
そんな中、AGP側は数年前から株主離れを画策。上場企業として大株主と適切な距離を取り、経営の独立性を高めなければならないというのが理由だ。
主導するのは辻佳子取締役とイー・ウーマン社長の佐々木かをり氏ら社外取締役2人とされる。辻氏はコンサル会社を経て、アジア関連ビジネスで起業し、18年にAGPのタイ現地法人に入社。後に本社へ転じた異色の経歴の持ち主だ。
〈この続きでは、経営陣と大株主の対立について背景と経過を解説しています〉
※本記事の全文(約5000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年7月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。この記事の全文では、下記の内容をお読みいただけます。
「楠見雄規さんは攻めの経営戦略が打てなくなり、リストラしか言わなくなった。知恵袋は創業者の松下幸之助時代から…」
★西武HDに居住者が不満
「あそこは3年ごとに契約を更新する定期借家物件でした。居住者に『次の更新はしない』と通知しており、不満を持っている方もいますが…」
「樫尾和宏氏は中国市場でG-SHOCKを売り進めようとしたが、コロナ禍もあって苦戦していた。また21年、和宏氏のパワハラ疑惑が…」

■連載「丸の内コンフィデンシャル」
【2025年】
1月号 セブン買収のキーマン、あおぞら銀の受難、メルカリの内憂外患、外食高値買収劇の裏
2月号 日産ホンダの同床異夢、ソフトバンクの隙間風、HISの後継者は?、犬猿の仲は続く
3月号 楽天ナンバー2の交代、貸金庫事件の余波、トヨタ会長活躍の裏で、パソナの世襲の行方
4月号 日産・社外取の思惑、魚谷氏のコンサル人脈、農林中金の退職金は、ヤマダ3人目の後継
5月号 岐路に立つ富士通、地銀再編の台風の目、農中が抱える爆弾、流通業の新旧交代
6月号 東芝の主導権争い、村上家に戦々恐々、“切れ者”の復活、牛丼一本足脱却なるか
7月号 今回はこちら