毎年この季節になると、いつも別次元でギラギラ輝いているプロ野球選手たちに親近感を抱いてしまいます。第100回全国高校野球選手権大会が各地で熱戦真っ只中。取材の合間、その話題になると選手の皆さんはいつも以上に饒舌になり、ノリノリで自身の高校時代の話や母校の戦評を語ってくれます。その姿からは“野球少年感”が漂います。

ホークスファン注目の大分県大会

 私の趣味は高校野球観戦で、県内外の様々な球場を巡っています。個人的に注目する選手がいる高校や、観戦するうちにファンになった高校をはじめ、ホークス選手の母校にも注目しているのですが、中でも今年は大分大会の組み合わせを見てワクワクがサクレツ。なんと大分出身ホークス選手たちの母校が全て同じ“やぐら”に集結したのです! 今宮健太選手の母校・明豊高校、内川聖一選手の大分工業、笠谷俊介投手と川瀬晃選手の大分商業、甲斐拓也捕手の楊志館(さらには昨季までホークスの内野守備走塁コーチの鳥越裕介さんの母校・臼杵)が同じブロックに入り、3回戦までに大激突! この組み合わせを見て一人で興奮したのですが、大分出身鷹選手たちにこの話を振ると「(組み合わせ)見た見たー! これ凄いよね!」と皆さん口を揃えて興奮気味に反応してくれました。

 大分工業出身の内川選手は「俺が(大分の組み合わせ)一番最初に見たんじゃないかな(笑)」とニコニコ。即行で組み合わせを甲斐捕手に見せたそうです。

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「この時期、選手同士そういう話しかしませんよ(笑)」

 卒業して17年経ってもやはり気になる母校、そして高校野球。童心に返ったような笑顔で「だって夏って一番盛り上がるじゃないですか」と内川選手。今や球界のヒットメーカーでホークスの主将。お忙しいながらも、オールスター休み等で行ける時は母校の応援に行っているそうです。

「今までで一番盛り上がったのは、母校の大分工業と親父が監督の情報科学が対戦した時(2010年夏)かな~!」

 その時は母校の大分工業が勝ち、甲子園出場を決めましたが、お父様が指揮を執る情報科学が敗れた複雑さ? もあったようで、バックネット裏上段から見守った当時を振り返って下さいました。

大分工業出身の内川聖一 ©文藝春秋

今でも母校・明豊高の戦いが気になる今宮

 一方、明豊高校OB今宮選手は2009年夏の甲子園のヒーロー。打っては高校通算62本塁打、投げては最速154キロのスター選手として輝いた高校時代。それでも、「いや~菊池雄星にはかなわんっすよ~」と照れくさそうな笑顔。今宮選手も高校野球の話をする時、すごく良い表情をしています。

「プロ野球選手って、高校野球の話する時みんな輝いていますよね」と言うと、「だって、一番の青春ですもん」と今宮選手。

 一番の青春で輝きに輝いた人が言うから、深みのある一言でした。その青春を大事にして欲しいという後輩たちへの想いもあるのか、プロの第一線で戦う中でも明豊の戦いは気になるようです。昨夏は数々の接戦を戦い抜き全国ベスト8と奮闘した後輩(3年生)を、“甲子園のご褒美”と言ってヤフオクドームに招待しました。

「(高校野球は)一生懸命やってる姿が良い。プロ野球と違ってトーナメントだし、一発勝負。点差があっても最後まで何があるかわからないでしょ。それを見に行ってる感じですかね、パワーもらいに」

 今でこそチームの中心選手であまり機会はないようですが、プロ2年目だった2011年夏は、甲子園に出場した母校の試合日が2軍の休日で、応援に駆け付けたそうです。岡山代表の関西との試合は7-1で明豊が敗れるも、「あの試合でトリプルプレーしたんですよね」と後輩たちの10年ぶり7度目の快記録を誇らしそうに話してくれました。