文春野球ヤクルト、今回はパトリック・ユウさんを代打起用します! 「ぜひ、文春野球で原稿を!」とお願いしたところ、「喜んで!」と即答してくれました。神宮球場を盛り上げ続けるパトさんにとって、印象的なコール、忘れられない選手とは誰なのか? 普段はどんな思いでマイクを握っているのか? そんなことを書き綴ってもらいました。ぜひ、楽しんでください。レッツゴー、パトさん!

「NO SWALLOWS,NO LIFE!」なスタジアムDJ

 スワローズスタジアムDJ11年目のパトリック・ユウです。大好きな野球のアナウンス、そして、大好きなスワローズのアナウンスを長く担当させていただき、本当に幸せな毎日を過ごしています。このお仕事は、僕にとって「仕事」の域を超えたライフワークです。まさしく「NO SWALLOWS,NO LIFE!」なんです。

 僕の主な役割は、神宮球場を中心に、ヤクルト主催のホームゲームで、ファンのみなさんに向けてのアナウンス! すでに定番フレーズとなっているのが、「GO、GO、SWALLOWS!」の 応援コール。このコールをきっかけに、ヤクルトファン全員に一体感が生まれたらいいなと思いながら、いつもマイクに向かっています。

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 そして、打者がバッターボックスに入ったとき、あるいは、ヒットやホームラン、ナイスプレーがあったときの選手の名前コールも、僕の主な仕事です。できるだけファンのみなさんに親しんでいただき、盛り上がれるコールの仕方を考えています。たとえば、選手のニックネームを使用させていただいたり、下の名前だったり、選手登場曲に合わせてリズムに乗って叫ぶ! などなど。

 これまでのスタジアムDJ人生の中で、最初に盛り上がったのが飯原誉士選手(現・栃木ゴールデンブレーブス)のコールでした。きっかけは、センターに近いライトスタンドにいるスワローズファンたちが、飯原選手の登場曲のサビの部分に合わせて、「♪レッツゴー、ヤスシー♪」とコールしていたことです。それがとてもインパクトがあったので、さっそく真似をさせてもらいました。

 BOAさんの『AGGRESSIVE』に合わせて、球場全体で、「レッツゴー、ヤスシ~!」とコールしていたことを覚えている人も多いと思います。この「レッツゴー、ヤスシ~!」コールは、自分でも予想しないほどの大ヒットでした(笑)。他球団のファンや選手、記者のみなさん、アンパイアまでにも広がり、多くの人から、「あっ、“レッツゴー、ヤスシ~!”の人だ!」とまで言われるようになりました。まさしく、「NO YASUSHI,NO PATRICK!」です(笑)。

 その後、川端慎吾選手の場合は「レッツゴー、シンゴー~!」になったり、バレンティン選手のニックネームである「ココ」や、中村捕手の「ムーチョ」をアレンジして、「レッツゴー、ココ!」や、「レッツゴー、ムーチョ!」など、いろいろなヴァージョンが増えていきました。

「NO SWALLOWS,NO LIFE!」なスタジアムDJ ©パトリック・ユウ

スタジアムDJの一日とは?

 ところで、スタジアムDJの一日とは、どんなものなのでしょう? 文春野球の読者の方にとって興味があるかどうかはわからないけど(笑)、神宮球場で試合がある日の「一日のスケジュール」をご紹介しましょう。

 まず、息子を保育園に送る。火曜日は自分の野球チームの試合をやってから神宮へ。球場に入るのは、大体15時頃です。時間に余裕のあるときは14時くらいに球場に行きスワローズの練習を見にいきます。そして15時半ぐらいから進行ミーティング。その日のイベント内容などを確認して、自分なりにイメージを作り上げます。

 そして、神宮球場フードを食す。最近は選手プロデュース弁当をよく食べます。個人的におススメなのが、ライアン小川選手の「豪快焼29重弁当」です。パワーつくよ!! こうして17時30分になるとオープニングトークスタート。スワローズファンへのあいさつとビジターチームへ「ようこそメッセージ」に続いて、つば九郎の一言。これが山場(笑)。つば九郎の「今日の一言」は、多くのファンの方に楽しんでもらっています。

 続いては、「スタメン発表」をして、セレモニーの司会進行後に、ようやくプレイボール。試合中は先ほど言ったように、選手コールをしたり、イニング間のミニコーナーのMCをしたり、何だかんだとバタバタしています。そして、見事にスワローズが勝利したときはフィールドに降りて、「関東一本締め」など、勝利の歓喜をファンのみなさんと分かち合います。

 控室に戻ってからは、ファンの方へのメッセージをツイートしたり、コメントをもらっている場合にはその人に感想を送ったりして、神宮球場を出るのが、試合終了から45分後ぐらいです。その後は、3連戦のうち1回はのどのお掃除としてビールを飲みに行きます。あとは普通に電車に乗って帰宅。息子とちょっと遊んで、『プロ野球ニュース』や試合の録画をビール飲みながら視聴。気がついたら寝てるパターン(笑)。

 これが、僕の平均的な一日です。