さらに、続いて謝罪に立った森公安部長は亡くなった相嶋さんの名が出てこず、手元のメモに目を落とす始末。さらに会社名を「大川原化工機『工業』」と間違えた。

謝罪で「大川原化工機」の社名を間違えた東京地検の森博英公安部長(左) 筆者撮影

 その場面を多くの社員が固唾を呑んで見守っていたが、1人が元取締役の名前を間違え、もう1人は会社の名前を間違えたことに空気がザワついた。

「山本ってうちにいないよね。島田さんのことだよね、ありえないね……」

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 その後はメディアに対する謝罪会見が開かれたが質問は禁止され、会社側と東京地検・警視庁が検証のために行った40分ほどの協議も非公開だった。

「えっ、そうでしたか。初めて知りました」

 協議後、黒塗りの車に乗り込もうとしたところで報道陣の記者の1人に「島田さんの名前を間違えたようですが」と質問された鎌田副総監は「えっ、そうでしたか。初めて知りました」と答えた。

鎌田副総監は名前を間違えたことに「えっ、そうでしたか。初めて知りました」とコメント 筆者撮影

 筆者が「本当に今初めて知ったんですか?」と尋ねても「はい」と二度答えるだけ。「すぐに検察の人(森公安部長)が島田様と言ったのだから気づくのではないですか」と質問を重ねたが、おつきの職員に「個別の質問には答えられません」とガードされて無言で車中に消えていった。

 その時点では、島田元取締役や大川原社長はまだ会社に残っていた。戻って「先ほどはお名前を間違ってしまいました」と謝罪することも可能だったはずだが、それもしなかった。

東京地検の森公安部長 筆者撮影

 社名を言い間違えた森公安部長も帰り際に指摘されたが、「そこは申し訳ありません」と答えるのみだった。