東京新聞に載っていたギョッとする発言
東京新聞の「裏金」連載には自民党内から「おわびはしても、説明する気はない」とか、ギョッとする発言が載っていた。私がどうしても気になったのは、この人たちは現場でどういう演説をしているのか? どのように有権者を説得しているのか? という点だ。どうしても見たい、知りたい。
そうして世田谷区に行ったのだが困ったのが情報不足だった。ステルス選挙と言っていい。「会いに行ける」のが選挙の醍醐味なのに……。私は2年前に選挙をテーマにしたドキュメンタリー映画をつくったが、今回も共同監督のダースレイダー(ラッパー)と映像監督と3人で行動した。ようやく我々は三宅候補の選挙事務所を見つけて朝一番に訪れ、その日の情報を聞けた。遂に未知の生物ならぬ候補者に会えるのだ。胸が高鳴った。
午後3時、三宅候補は下北沢駅前に姿をあらわした。演説をすべて聞いたが裏金については一切言っていなかった。その点を直接聞いてみた。返ってきた答えは「時間がない」「他のことを話したいから」。さらに気になるのは「自分を知っている人(支援者)に伝わればいい」と述べていたこと。駅前という公の場で演説しているのに不思議な論理だった。通りすがりの人だけでなく支援者だって説明が無いことが気になっているのでは? と尋ねると「他のことを話したいから」の繰り返しだった。
さて今回、「自民党の公認が見送られた会派の幹事長経験者6人」のうち、現場で最も印象的だったのが小宮安里候補(杉並区)だった。
2022年に幹事長だった小宮安里氏は4月16日、裏金問題を扱う政治倫理条例検討委員会に参考人として出席した。そこでの言葉はインパクトのあるものばかりだった。冒頭こそ「いつ誰が始めたかは分からないが、問題を認識せずに継続した責任は私たちにある」と頭を下げたが、「一方で、開き直りのような姿勢も目についた」と東京新聞は伝えている。
たとえば「都民は実態解明を求めているのではないか」という議員の質問に対し、小宮氏はこう述べた。
「私たちのことだけの究明をすることだけが委員会でしょうか。政治倫理条例を作るに当たり、過去のことをさらして、深い協議をすること以外にも話し合うことはあると思う」
「お金のかからない政治を目指すべきでは」という指摘に対しては、「きれいごとだけでは政治ができない」。