第一声に駆けつけ、質問すると…

 質疑応答のあとに記者が「政治活動に使っていたのであれば、なぜ収支報告書に記載しなかったのか。疑問は残った」とし、小宮氏を追うと「私は予定がある」と話してそのまま控室に入っていったという。記者は「本心では説明する気がないのだと理解した」と書いている。

 こんな態度のまま、また選挙に出ようとしているのだ。現場はどうなっているか知りたくなった。第一声に駆けつけると「無所属」だが自民党の関係者がずらり。支援者とのふれあいのあと、私は以下のように質問してみた。

小宮安里候補に質問するプチ鹿島氏

――裏金について説明は十分されているとお考えですか?

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「議会で説明させていただいたのを聞いていただきましたか?」

――はい、『きれいごとだけでは政治はできない』という言葉がすごく気になっているのですけども。

「都民のためならなんでもやりますけども裏金とは別の話でございますので」

――その『別の話』が気になっているのですが。

「政治家一人一人のやり方があるのではないでしょうか。たとえばクリーンな政治っておっしゃる。そのクリーンな政治ってなんですかっていう。それだってきれいごとに聞こえますよね? その捉え方だと思うのですけど」

 小宮氏は自分から「クリーンな政治」という言葉を持ち出し「それだってきれいごと」と言い出したのである。「きれいごとだけでは政治はできない」を補完するような「説明」だった。驚いた。

 最後にあらためて「説明を果たすことは?」と問うと、

「説明は果たさせていただきました。 (訂正した)私の収支報告書をごらんください」

 こうして会話は終わった。いかがだろうか。裏金問題に関与していたとしても、「この人は地域のために働いてくれてるから」という判断で1票を入れたっていい。「仕事ができても『きれいごとだけでは政治はできない』と言ってしまう人は無理」という判断でもいい。10人いれば10人の考えがある。ただ、まず知るべきは自分の選挙区の候補者はどんなことを言っているのか?ということだ。判断材料は少しでも多くあったほうがいい。何も知らないで選挙を迎えるのはもったいない。素朴な疑問があれば直接こうして聞ける。

 投票の結果、小宮安里候補も三宅茂樹候補も落選した。有権者の「判断」は下った。

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 文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』

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