2024年8月、医師を装って当時18歳だった女性に乱暴しようとしたなどとして、無職・福田友幸被告(当時40歳)が逮捕された。福田被告は医師を装って治療と思いこませ、女性の自宅で体を触るなどのわいせつ行為をしたうえ、名古屋市の宿泊施設で乱暴しようとした疑いが持たれている。

 被害女性がSNSで知り合った福田被告に「不安でよく眠れない。うつ状態で学校にいけない日もある」などと相談をしたところ、「後輩に精神科の専門医がいる」と言った福田被告自身が、“精神科の専門医”になりすまし女性に接触。一人二役を演じていたことも捜査の過程で明らかになっている。この事件の全貌を詳しく解説する。(全2回の1回目/続きを読む

名古屋地裁

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ライブ配信サービスで知り合ったイケメンの医師「裕翔」

 名古屋地裁は6月26日、医師になりすまして当時18歳の女性を乱暴しようとしたなどとして、準強制わいせつや窃盗、詐欺の罪に問われた住所不定無職の福田友幸被告(41)に対し、懲役5年を言い渡した。

 2023年4月、専門学校に進学した被害者のA子さん(当時18)は名古屋市内で一人暮らしを始めた。同年6月ごろ、ライブ配信サービスで知り合ったのが「裕翔」というアカウント名の男だった。

 裕翔は30歳前後のイケメンの医師だった。A子さんは自分が名古屋市内に住んでいることしか話していなかったが、一番驚いたのは裕翔がA子さん宅の目と鼻の先にある病院に勤務していると聞いたことだった。

「私の自宅もすぐそばにあるんですよ」

「奇遇だなァ。オレもその近くのマンションに住んでいるんだよ」

福田被告が勤務していると自称していた病院(名古屋市)

 A子さんは俄然裕翔に興味を持ち、あれこれ話すうちに裕翔から「好きだ」と告白され、「好きだから助けたい。生活費として50万円支援する」と言われた。

「本当ですか?」

「オレと付き合ってくれるなら」

 A子さんとしては願ってもない話だった。A子さんは男性経験もなく、結婚するまでは処女を守りたいという考えだったが、それを聞いても裕翔は「ぜんぜん構わない。オレは医者だから、性欲と恋愛を結びつけることはない」と言うので、ホッとした。

専門医を紹介すると言われ「3人で会う」という約束をしたが…

 A子さんは裕翔のことを信用し、ビデオ通話でオンライン診察をしてもらうまでになった。つまり、裸になって体の悪いところを診察してもらう行為だ。

「オレは女性の裸は見慣れている。性的な目はないから心配しなくていい。A子ちゃんはちょっと運動不足だね」

 さらにA子さんは精神疾患を患っていて、不安でよく眠れなかったり、うつ状態で学校に行けなくなる日もあるなどと話すと、「それならオレの後輩を紹介しよう。翼先生っていうんだ。精神科の専門医だから聞いてみるといい。3人で会う日を決めようか?」と言われた。

 A子さんは言われるがままに自宅の住所を教え、同年6月19日午後9時に最寄り駅の改札で会うことを約束した。