6月27日、神奈川県座間市で男女9人を殺害したなどとして死刑が確定していた白石隆浩死刑囚(34)の死刑が執行された。白石死刑囚は2017年、座間市の自宅アパートで男女9人を相次いで殺害したなどとして強盗強制性交殺人などの罪に問われ、2021年に死刑が確定。

 被害者はSNSで自殺に関する投稿をした当時15~26歳の男女で、2017年8月からわずか2か月間で女性8人、男性1人が殺害された。

 この世間を震撼させた凶悪事件の加害者である白石死刑囚は一体どんな人物で、如何にして犯行に及んだのか——。ノンフィクションライターの小野一光氏が白石死刑囚と11回に渡って面会し、その対面記録を「週刊実話」(日本ジャーナル出版)で連載。当時の記事を再公開する。

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(初出:2020年11月2日。年齢、肩書は当時のまま)

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白石隆浩被告 ©️文藝春秋

拘置所から”獄中結婚相手募集”

「記事、先週金曜日に読みました。それで、こんなことなら言っとけばよかったってことがあって…」

 白石隆浩との面会6回目の8月3日、彼は小誌に掲載された、この連載の第1回目を初めて読んだことを口にした。私としては反応が気になるところだが、そこで彼が切り出したのは、予想もしない言葉だった。

「これ、持ち込み企画なんですけど、僕の“獄中結婚相手募集”って出してもらえないですかねえ。せっかくああいう記事が出るんなら、誰かいい人が見つけられたらと思って…」

 聞けば、以前は手紙を送ってきたり、差し入れをしてくる女性が何人かいたそうだが、女性週刊誌に記事が出て以来、ぱたりと止んだのだそうだ。私は聞く。

「獄中結婚を考えるのは、(死刑の)確定後のことを考えて?」

「そうですね。死刑が確定すると、家族以外の誰にも会えなくなるじゃないですか。だから、誰かと結婚してたほうがいいかなって…」

 この記事は時系列で出すため、タイムラグが生じることを彼に伝えた。そのうえで今回の掲載に至る。