深く胸に刺さった“ある言葉”
そんな私にとって、グレースの唯一の友・ピンキーの言葉は、まるで私自身へのメッセージのように、深く胸に刺さりました。「かたつむりは跡を残しながら前に進み続ける。世界中に生きた証を残しなさい。人生は後ろ向きにしか理解できない。でも、前を向いて生きるの」
もし今、つらくて孤独で、うずくまっている人がいたら、私も「もう戦わなくていいよ」と伝えてあげたいです。殻にこもったままでも、生きていればいい。少しずつでも進めば、どこからか助けてくれる人が現れて、また一歩、前に進めると思います。
大きな希望を感じたラスト
結局、人はみな、不器用でも、泣きながらでも、かたつむりのように静かに、でも確かに、生きた証を残していくものなのかもしれません。
人生は一筋縄では行きません。嬉しいことはたまにしかなく、苦しいことやつらいことは山のようにある。それでもグレースが殻を脱ぎ捨て、自分の足で人生を歩み始めたラストには大きな希望を感じました。
完璧じゃなくていい。人生の主人公はいつだって自分なのです。
なかがわ・しょうこ 東京都出身。歌手・タレント・声優・女優のほか、イラストレーター、文筆家としても才能を発揮するマルチクリエイター。メッセージ性のある発信も注目を集め、発信力・影響力ともにトップクラスを誇る存在として、世代を超えて多くのファンを魅了し続けている。
INTRODUCTION
『ハーヴィー・クランペット』(06年)でアカデミー賞短編アニメーション映画賞を受賞。初長編作品の前作『メアリー&マックス』(11年)でアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞ほか数々の映画賞を受賞したアダム・エリオットが、製作期間8年をかけて生み出したクレイアニメーション。CGやAIに頼らず、手作業にこだわり、ひとコマずつ丁寧に作り上げることで、本当に生きているかのように表情豊かなキャラクターたちを体現している。
STORY
1970年代のオーストラリア。幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレースは、双子の弟ギルバートと父の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。しかし突然父が亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことになる。寂しさからカタツムリを集めることだけが心のよりどころとなっていったグレース。ピンキーという風変わりなおばあさんと出会い、かけがえのない友だちになっていくが……。
STAFF & CAST
監督・脚本:アダム・エリオット/声の出演:サラ・スヌーク、ジャッキー・ウィーバー、コディ・スミット=マクフィー、ドミニク・ピノン、エリック・バナ、マグダ・ズバンスキー、トニー・アームストロング、ニック・ケイヴ/2024年/オーストラリア/94分/配給:トランスフォーマー/©2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

