「外から政治を見ていこうと決めた」と政治家引退表明
小宮氏は落選したが最後の1議席を争った相手は国崎隆志氏だった。国崎氏も伸晃氏の秘書を務めた人物だ。ちなみに小宮氏も国崎氏もSNSでは演説場所の事前告知をほぼしていなかった。伸晃氏も2021年の衆院選ではステルス選挙をしていたので二人とも「師匠」に似たのだろうか。
伸晃氏の最終日の演説に話を戻すと、トップバッターで応援演説を終えた伸晃氏は会場を後にした。初日は最後までいたが今回は一段と早い。なかなか会えない伸晃氏に話を聞きたいと思った私たちは伸晃氏を追った。姿を見つけると、伸晃氏は赤信号で横断歩道を渡っており、待たせてあった車に乗り込んだ。速い! 次の応援演説だろうか? その背中は自民関係者が言った「敵前逃亡」という言葉とオーバーラップしてしまった(失礼)。
この2日後に伸晃氏は政治家引退表明をテレビ番組でする。「まだ元気なので国を思う気持ちは変わらない。憂える事態が、イランとアメリカの話みたいにたくさんある。こういうことに対して意見を述べていこうと」と、「外から政治を見ていこうと決めた」と述べた。
今後はコメンテーターとして露出するのかもしれないが、それならまず聞いてみたいのは「生活保護引き下げ、違法」と 最高裁が判決を下したことだ。国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だとした。引き下げ前の2011~12年ごろ、生活保護制度や利用者を狙った「生活保護バッシング」が過熱した。
石原伸晃氏は2012年の自民党総裁選に出馬中、「報道ステーション」で生活保護のことを「ナマポ」というネットスラングを使って語った。あれも生活保護に対するバッシングを高めた一因ではなかったか? 2021年には伸晃氏はコロナに感染するとすぐに入院でき、リアルな格差を見せつけたことも話題になった。格差社会と言われる中で「コメンテーター石原伸晃」にはそんなことも聞いてみたい。
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