「政界を動かしているのは石原伸晃である」という説

 石原伸晃氏が政界引退を表明。都議選の翌日に流れてきたニュースだ。

 私は以前から「政界を動かしているのは石原伸晃である。ただし本人の知らないところで」という説を唱えてきた。

石原伸晃氏 ©時事通信社

 例を挙げる。まず2012年の自民党総裁選。当初、本命とも言われていたのは石原伸晃氏だった。ところが失言などで失速。安倍晋三氏が予想を覆して2度目の総裁になった。第二次安倍政権は長期になったので「安倍一強を生んだのは伸晃」と言ってもよい。

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 さらに同年の衆院選では東京都知事だった父親の石原慎太郎氏が国政復帰をした。伸晃氏がピリッとしないから父親がまた国政に出てきたように見えた。政界に第三極の波が起きた。さらに俳優の山本太郎氏が伸晃氏の東京8区から出馬。1年後に山本氏は政界入りし、現在はれいわ新選組の党首である。なんという伸晃氏の政界再編力だろう。本人の知らないところで。

 圧巻は2016年の東京都知事選だ。小池百合子氏が立候補して保守分裂。小池氏は自民党東京都連にケンカを売ってブームを起こした。当時の都連会長は伸晃氏。またしても本人の意思とは関係なく政局のかませ犬となった。

 2021年の衆院選でも大きな動きがあった。伸晃氏の東京8区は野党共闘を巡り一気に注目選挙区になってしまったのだ。伸晃氏は落選。また政界を動かした。本人の意思とは関係なく。

 驚くのはこの後だ。伸晃氏は東京8区ではなく2025年の参院選へのくら替え出馬を目指す考えを表明したのだ。当時の読売新聞オンラインの見出しを見てみよう。

『石原伸晃氏の参院くら替え方針、自民関係者「敵前逃亡とみられても仕方ない」』(2023年6月28日)

 敵前逃亡って! 伸晃先生に対して失礼じゃないか!

 記事では「石原氏が地盤にしてきた杉並区では、自民党勢力の衰退が続いており」と解説され、伸晃氏に投票してきたという男性は「参院に挑戦というのは、杉並が見捨てられた感じがする。もう一度挑戦してもらいたかった」。

 では参院選出馬作戦はうまくいったのか? しかし伸晃氏の名前は出てこず。今年の4月、Xでこんなポストをしている。