アメ車が売れないこの国にも、アメリカのカスタム文化はたしかに息づいている。「37th MOONEYES Street Car Nationals®」に出展した個性豊かなオーナーたちの素顔に迫った。

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19歳のときに生まれるよりも数十年前の車を購入した“整備士女子”

 23歳の整備士女子「ナナ」さんは、19歳のときに1977年式のシボレーC10を購入。

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半世紀近く前のピックアップトラックを自身で整備した「ナナ」さん

「私の名前がナナなので、ちょっと運命的にも思えました」と語る。整備士専門学校在学中に購入を決め、エアコンの新設から配線の引き直し、エンジンの載せ替えまで自分で行った。

大型のグリルと丸目ヘッドライトの組み合わせが特徴的なフロントマスク

「本当に手間もお金もかかりましたけど、その過程も全部経験になりますし、このC10は自分にとって整備士キャリアの原点みたいな存在です」

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 続いては北陸で家族と暮らす20代男性リュウジさん。父親が車屋を営み、幼少期からアメ車に囲まれた環境で育った。

教習車の次に乗ったのがこのアストロ。初心者マークを貼っていた頃は、イカツい外装とのギャップに驚かれることも

「父はサバーバンとアストロのハイルーフ、母はアストロの旧マスクとトレイルブレイザー、姉はハマーH2。家の敷地いっぱいに、もはやパズルゲームみたいに並んでいますね」

 彼が乗るシボレー・アストロは、もともと母親の車。免許を取ってすぐに譲ってもらったという。

ブラックアウトされたグリルとエアロパーツがアストロのイカツさを際立たせる

「新しい車にはどうしても興味が湧かないんですよね。今だとアルファードが同じくらいのサイズ感ですけど、最近の車に乗っても、ボタンだらけで何が何やらわからないですし……」

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 また、「たっつん」さんは母親の送迎用に購入したN-BOXをド派手にカスタムした。

自らの手で塗装を剥がし、ボディをサビさせた結果、どんどんインパクト重視の外装に

 母親が亡くなった後も、思い入れのある車を弄ることで生活にハリを持たせたという。

左側面にも全面的にフレイムス(炎の模様)とラットフィンクのアートが描かれる

「最初はもう少しキレイめに仕上げる予定だったんですけどね。途中でボディにサビを入れはじめてから、かなり方向性が変わって」

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 一方、女性オーナーの「いっちー」さんは、15年以上前に弄ったタントを今回のイベントに出展。驚くべきことに彼女は改造車を12台も所有しているという。

愛車と別れる寂しさがイヤで、これまで弄った車を所持しつづけるようになった

「やっぱり車を買い替えても、それまでの車を手放すと寂しくなるじゃないですか。それで、いつからか別の車を買っても残しておくようになり、そのままどんどん増えてしまって……」

 よく「普通車を弄ればいいのに」と言われるが、「四角くて愛嬌のあるデザインが好きなので、軽ばっかり増えちゃって」と笑う。

後方からの車内。天井に掛かるツタの装飾がインテリアのクオリティを高めている

「夫は申し訳ない気持ちもありつつ、もうずっと、私の趣味に関しては見て見ぬフリという感じです。たまに代車とかでノーマルの車に乗ると、『こういうのでいいのになぁ』と呟いていることはありますけどね」

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 彼らの熱い思いは、車を単なる移動手段としてだけではなく、生活に彩りを与えるアートのように捉えているからこそ。「アメ車が売れないこの国」でも、独自のカーカルチャーは確かに息づいている。

次の記事に続く 《7台の車を維持するために100坪超のガレージハウスを購入!》「貯金はほとんどできていませんが…」「いい加減落ち着いた車に乗りなさい」サニトラ、セリカXX、フェアレディZ…酔狂なオーナーたちの異常すぎる“クルマ愛”

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