グループへの思いが強く出すぎたのでは
選抜総選挙前後の松井の言動には、たしかに思いが出すぎた部分もあったかもしれない。しかしそれもすべては、世間的に関心が薄れつつあるAKB48グループへの危機感から来ていることは間違いない。
囲み取材でも松井の口から出たのは、自身の展望を語るというよりは、グループを今後どうするかという発言が大半だった。たとえば、開票イベント前のコンサートでタイ・バンコクの姉妹グループであるBNK48のメンバーが、AKBの往年の曲「RIVER」を歌っていたことについて《すごく一生懸命すぎて、涙があふれました。これが本当の『RIVER』だなって。でもそれを日本でやらなくちゃ。だから私がやります》と決意を表明していた。そうした意気込みに反し、このあと体調を崩してしまったのも、選抜総選挙でのプレッシャーに加え、グループに対し責任感を抱くがあまり無理がたたったからではないだろうか。
AKBグループは“世界で戦えるアイドル”になれるか
6月27日深夜には、ニッポン放送のラジオ番組『AKB48のオールナイトニッポン』に宮脇咲良のほか、AKB48グループ総監督の横山由依(AKB48)、岡田奈々(AKB48・STU48兼任)、高橋朱里(AKB48)が出演した。松井はこの日、AKBが生出演したテレビ東京の『テレ東音楽祭』も欠席していたため、横山が番組の冒頭で《復活を待っていただけたら》と呼びかけた。
開票イベントの翌日、報道陣の取材に対し、松井は《真の世界チャンピオンになりたい。今度は私たちが世界へ行かないと。世界で戦えるアイドルになります》と語っていたという(「スポーツ報知」2018年6月18日)。
折しも選抜総選挙と時期を同じくして、AKB48のシステムと韓国の公開オーディション番組『PRODUCE101』を統合させたプロジェクト『PRODUCE48』の放送が日韓両国で始まり(日本ではBSスカパー!が放送)、松井や宮脇を含むAKB48グループのメンバーが、韓国の芸能事務所に所属する練習生たちとともに競い合っているところだ。
同番組では毎回、韓国国内でファン投票が行われ、暫定順位が発表される。6月29日に放送された第3回では、宮脇が3位、松井が12位にランクインした。最終的には、8月末に放送の最終回で、エントリーしたメンバーのなかから12人が選ばれ、新たなグループとしてデビューする予定だ。選抜総選挙は終わったが、彼女たちの新たな戦いは、すでに日本を飛び出して始まっている。